アジア大会で「愛国歌」聞きたい |
拳道会京都道場指導員 全寿英さん 昨年、マカオで開催された第4回東アジア大会に朝鮮代表として初めて参加し、銅メダルを獲得した23歳の若き空手家。5月に行われた第1回在日本朝鮮人空手道選手権大会の75kg以下級でも圧倒的な強さを見せつけ優勝した。会話中の柔和な笑顔とは裏腹に、試合で見せる相手を射抜くような鋭い眼とその表情は格闘家そのものだ。初の国際試合の舞台で、「国を背負って戦うことにとても緊張したけど、もっといろんな大会に出場したいと思った」。 5歳の時、アボジに連れられ町道場で空手を習った。当時の北九州初中、九州朝高ではサッカー部に所属。練習が終わると週に3回、道場に通って空手に勤しんだ。朝高卒業後、「もっと本格的に空手を習いたい」と思い拳道会京都道場の門を叩いた。毎日、早朝に自主トレ、午前は集団練習、午後は子どもたちの指導をこなす。「稽古はとてもつらいけれど、自分に負けたくない性分なんです」と照れ笑い。自分に負けそうな時、思い出す朝高時代の先生の言葉がある。「男が1回口に出したら死んでも最後までやれ」。 やりがいは「子どもの成長ぶり」に感じるという。道場に通う子供たちに言い聞かせることがある。一に脱いだ靴を並べる、二に大きな声であいさつする、三に自分の服は自分でたたむ。「『拳道』を通じて社会に貢献できる人材を育てたい」。 一方で、在日同胞社会の力になることをしたいと強く思っている。今一番近くにある夢は、「12月のドーハ・アジア大会の表彰台で『愛国歌』を聞くことです」。 [朝鮮新報 2006.5.31] |