top_rogo.gif (16396 bytes)

〈本の紹介〉 戦争とジェンダー 社会的革命より難しい

 若桑さんはジェンダー理論について本書で次のように指摘する。

 「ジェンダー理論は20世紀にあらわれた人類の最新の解放思想である。それは人類最後の被支配階級である女性に、男性と等しい自由、権利、そして平等を与える理論的根拠をはじめて提供したのである。くりかえしになるが、女性もまた男性と同様に、自己の人生と社会での活動を主体的に選び取る権利があるし、それを遂行する能力もあることを証明した。しかし、そのことを実現するのは、社会的な革命よりもある意味でははるかに難しい。この革命は社会における敵対する階級、党派間や、敵対する国家間で起こるものではなく、個人的な男と女の間に起こる意識の革命だからである」

 そして、すべての領域における男女の基本的な平等と自由というごくあたりまえのことが、実は既存の男性中心型、男性支配型国家の構造を変えてしまうと多くの人が、恐れていると述べている。ジェンダーとは歴史的、社会的、文化的に構築されてきた男性性、女性性のことである。戦争を生み出す本質は何かをえぐり出す画期的な待望の書。(若桑みどり、大月書店、TEL 03・3813・4651)

[朝鮮新報 2006.6.12]