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〈金剛山歌劇団・南朝鮮特別公演〉 「統一近づける公演活動」

各界とさまざまな交流

 今公演期間、さまざまな場所で交流が行われた。4日に6.15民族共同委員会京畿本部が主催した夕食会、5日には韓国芸術総合学校伝統芸術院の学生たちとの交流、6日夜には南の政界、文化人ら著名人たちとの晩さん会、そして8日には雑誌「民族21」が昼食会を催し、そのつど互いに芸術交流を促進し、「祖国統一」を実現していこうとの固い約束を交わしていた。(金明c記者)

6.15民族共同委員会 京畿本部主催の夕食会

4日の水原公演を終え、マッコリで「乾杯!」

 水原公演終了後、会場を出発して夕食会の場所へ向かった時は、午後10時を回ろうとしていた。到着した場所は「水原市民新聞(キム・サムソク代表)」。事務所がある2階に上がると「6.15民族共同委員会京畿本部」のメンバーの手厚い歓迎と、「統一の花を咲かせる金剛山歌劇団のみなさん、パンガプスンニダ」との大きな横断幕が飾られていた。

 疲れの残る団員たちだったが、それらを忘れるかのようにビールにマッコルリ、伝統料理を堪能し、主催者側の人たちと会話を弾ませた。

 同委員会安山本部常任共同代表のマ・イグムさんは、「今公演は南の情緒に合ったものでとても見やすかった。金剛山歌劇団の公演は、南北の体制を乗り越え統一を近づける大切な活動だ。もっとたくさんの人が見ればそのすばらしさを感じてもらえるはず」と語っていた。

韓国芸術総合学校伝統芸術院訪問

北側の改良楽器、舞踊の基本動作など披露 「学び合う大切さ知る」

晩さん会が行われた6日、21歳の誕生日を迎えた金剛山歌劇団、器楽部の崔慶朱さん(中央)。主催者側からケーキが用意され、みんなで祝った

 韓国芸術総合学校を訪問したのは金剛山歌劇団の24人。同校の招請により実現したもので、金剛山歌劇団が南の大学生とこのような交流を行うのは初めてのこと。北文化の独創性と特性を把握し、民族固有の伝統文化の継承、発展につなげようとの目的で行われた。今期間の大きな収穫でもあった。

 同校は、南の芸術学校ではトップの大学。音楽院、演劇院、映像院、舞踊院、美術院、伝統芸術院の6つの院で構成されている。今回、交流を持ったのは伝統芸術院の学生たち。講義の場にはそのほかの院生も訪れ、数は100人を超えた。

崔栄徳さんのチャンセナプ独奏。南の青年たちから大きな反響を得ていた

 舞台では、団員たちの紹介に続いて朝鮮舞踊と器楽演奏、朝鮮歌謡が披露された。次に器楽部と舞踊部に分かれ講義と実技がそれぞれ行われた。器楽演奏ではチョッテ、ソヘグム、チャンセナプが披露された。

 中でも注目を集めたのはチャンセナプ演奏家の崔栄徳さん。ルックスもさることながら、実力ある演奏に南の学生たちから「ヒュー!」「チョアヨ!」との黄色い声援と拍手が何度もわきあがっていた。

 一方、金剛山歌劇団舞踊部と伝統芸術院で伝統舞踊を学ぶ学生たちとの交流も行われた。北の民族舞踊の基本動作の説明と試演があり、南の舞踊学生たちは初めて見る動きの一つひとつに目を凝らしていた。また、共に踊る南の舞踊手たちはすぐに動きをマスターしていた。

 初めて北の舞踊を体験したという大学院生のパク・チヘさん(27)は、「自分たちのと似ている部分があったり、違った部分もあったりしてとても新鮮だった。みんなかわいくて舞踊もうまいしうらやましい」と照れ笑い。

韓国芸術総合学校伝統芸術院の舞踊学生たちは、北の舞踊の基本動作を学び、共に踊った

 舞踊手の宋栄淑さんは、「祖国分断後、半世紀にわたって互いに発展させてきた舞踊をこうやって学び合えることに意義を感じる。民族舞踊の根本は同じだと感じたし、もっと互いに交流していければいいと思う。一緒に踊るだけで涙が出そうだった」と感極まっていた。

 一方、洪嶺月名誉団長は、同校のチョン・ジェグク院長をはじめ教授たち、実行委員会委員長の姜惠淑議員らと歓談し、互いの交流を促進しようと約束を交わしていた。

 洪名誉団長は席上で、金剛山歌劇団の団員たちが民族学校に通い民族芸術を学んだあと、平壌音楽舞踊大学でも学び技量を高めているなどの現状を説明した。

 チョン院長は、「6.15精神にのっとって一方の芸術だけを学ぶのではなく、芸術も統一されなければならない。互いに習い合ってもっといいものを作っていければ」と話していた。

団員たちの感想 「歴史の重み、責任感を込め舞台に」

金剛山歌劇団について説明する洪名誉団長(右から2番目)。韓国芸術総合学校のチョン・ジェグク院長(右から3番目)と姜恵淑議員(左から2番目)

 「日本で生まれ育ち、民族芸術を継承、発展させている3、4世の団員たちが織り成す舞台が新たな感動を与えてくれることでしょう」−さまざまな場所で洪名誉会長は若い世代への期待を込めたあいさつを幾度もした。金剛山歌劇団を担っていく若い世代。今回、初めて南を訪れた人もいれば、4〜5回目の人もいる。それぞれが何をどのように感じたのか。

−司会者の金明姫さん(36)

 南での公演は3回目だ。舞台に上がるたびに、自分たちよりも早くここに来なければならなかった先輩たちがいたと思うと胸が痛む。南の市民たちが私たちを温かく迎えてくれ、「本当の文化交流」をしているという感があった。北の芸術の香りを伝える「橋渡し役」でありたい。

−器楽演奏家の李在浩さん(34)

独舞を披露する舞踊手の宋栄淑さん

 舞台と観客との空間が近くて、自然に心からの温かい拍手を感じた。自分たちの芸術を南で披露することの意義を強く感じた。日本で少々風当たりが強くても、ぐっと我慢してもっとがんばらなくてはと、そんな力をもらった。

−トランペット奏者の卞才学さん(22)

 初めて南で公演した。幕が上がった時の観客の反応に驚いた。2部最後の舞踊の「ハナ」で「統一旗」を掲げたシーンでもらった大きな拍手に心がふるえ、やっていてとても気持ちがよかった。

−テノール歌手の李康樹さん(28)

 舞台にあがるたびに緊張するけど、日本の公演とはまた違う温かさを感じる。自分たちの芸術が本当に受け入れられるのか心配もあった。でも観客の反応がよくてとても気持ちよく歌えたし、「リムジン江」を歌っているときは目頭が熱くなった。自分たちが「こういうこともできるんだ」と自信もつき、視野がいっそう広がった。

−歌手の全明華さん(27)

 50年もの間、金剛山歌劇団が積み重ねてきた情熱、生き様、存在をすべて受け入れてもらえたらいいと思って舞台に立った。観客の中でハラボジ、ハルモニの笑顔を見ると一番うれしいし、反面、分断の苦痛をしみじみと感じる。これからも歌を通してそんな人たちに少しでも光を与えられたらと思う。

−指揮者の金成哲さん(32)

 南での指揮は初めて。舞踊「ハナ」の場面を通じてこんなにも受けがいいことに驚いたし、統一を願う人たちがたくさんいると実感した。50年の歴史を誇る金剛山歌劇団を誇らしく思うし、先輩たちが苦労を重ねながら築き上げた力は本当に大きいと感じた。

−舞踊手の張麗華さん(27)

 「ハナ」に出演してみんなが統一を願っていることをひしひしと感じた。作品を通して「統一の意味」を感じ取ってほしかったし、南での公演が北、南のかけ橋になっていると自負している。歌劇団の長い歴史の重みと責任感…いろいろな人の思いを込めてこれからも舞台に立ちたい。

[朝鮮新報 2006.6.15]