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〈本の紹介〉 手の大きいお嫁さん−私の韓国語小辞典

ハングルにまつわる楽しい秘話

 韓国人と結婚し、大家族主義の家庭の一員になった日本人女性。朝鮮半島との関わりが20年を超える著者が、「言葉」をキーワードに日本と朝鮮半島の文化の共通点、違いをユーモアたっぷりに記している。

 自らが生活する過程で体験した、言葉にまつわる36のエピソードが並ぶ。たとえば、表題にもなっている「손 큰 며느리(手の大きいお嫁さん)」は、大盤振る舞いをする、料理を山ほど作るという意味。大家族の長男の嫁(맏며느리)はむしろ「手が大きい」ことをよしとされるそうだ。この項では、ほかにも体にまつわる表現を紹介している。「耳がかゆい」(귀가 가엽다)は誰かが自分のことを噂しているとき耳がかゆくなること、「首が抜けるほど待つ」(목이 빠지도록 기다리다)については、朝鮮半島では待ちわびると首が抜けるらしいと著者は紹介する。

 日本語で「あばたもえくぼ」は、朝鮮半島では「自分の目に眼鏡(제 눈에 안경)」と表現する。こんな日本語とハングルの違いがわかる点も参考になる。

 著者は、言葉の面で「おもしろいな」と思う表現を耳にするたび、すかさずメモをとるそうだ。「日本だったらこういう言いかたは絶対にしないだろうとか、さすが韓国ならではという表現に出会うと、とたんにうれしくなる」という。

 そんな著者だからこそ、生活レベルでのあれこれの表現を拾っている。同時に、一過性の流行語は扱わず、いままでもこれからも暮らしの中で繰り返し使われている表現だけを選び出した。世界に二つとない「ハングル辞典」と言えるのではないだろうか。(戸田郁子著、アートン、TEL 03・6737・1002)(文聖姫記者)

[朝鮮新報 2006.7.3]