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文芸同東京書芸部 第10回作品展 「絵を見るような楽しさ」

会場にはたくさんの人たちが訪れた

 在日本朝鮮文学芸術家同盟東京支部書芸部の第10回作品展が16〜17日、東京都豊島区池袋の東京芸術劇場展示室で開かれた。東京書芸部では結成から10年間、毎年欠かさず作品展を開催している。今回は会員、準会員など、20代から60代まで18人による書芸作品61品が展示された。

 東京書芸部長の金舜姫さん(29)は、「今回はこれまでと比べて軸装されたいわゆる『大作』が多かった。作者たちは10年間の活動を振り返り、思い思いの作品を手がけた」と話した。

 金さんの話によると、「書芸と共に泣き笑い十年」(康貞奈)、「たえず共にいようとも嫌ではない友」(高貞淳)などがその特徴的な作品だという。

 東京書芸部では主な活動内容として、朝鮮語で作品を手がけることを方針としている。毎月1回の集まりでは書についての勉強会のほか、在日同胞を取りまく「情勢学習」なども行われている。

 「会員たちは日本の社会で働き、日々の生活を送っている。在日同胞同士ひざをつき合わせて語り合う場が少ない私たちにとって、月1回開かれる書芸部の集まりは朝鮮人としての自分と向き合う大切な場でもある。書芸に関していうならば、私たちは日本で暮らしているだけに、北のものも南のものも見られるという点で大変恵まれている。書芸部では、北南の書体の歴史などについても学習を重ねている」(金さん)

 会期中会場には、同胞、日本の市民、書芸愛好家など261人が訪れた。

 会場に置かれた「感想ノート」には、たくさんの感想文が寄せられた。その一部を紹介する。

たくさんの感想文

「祖国統一は我々で」 康貞奈

 ●「『数製』。かわいいなぁーと思いました。ハングルの書道は初めて見たので魅力的でした」(堀井酉希子)

 ●「彪、姫、瓶、頻など、ハングルの持つデフォルメしやすい形態が表現を多様なものにしていると実感しました。中国の書、日本の書にはない演出を可能にする言葉だと思いました」(立柳聡)

 ●「字は読めませんが美しいと思いました。精神を集中して取り組む姿がうかがえます。やめることは簡単ですが、続けることはすごいことだと思います。『継続は力なり』ですね!」(鈴木佐和子)

 ●「初めてハングルの書道を見ました。日本の漢字とはまったく違う風格があると感じました。今まで書道とは無関係だったのですが、来年もまた見たいと思いました」(藤城志乃)

「日毎わきでる泉」 金舜姫

 ●「少し説明していただいて、とても良い内容だなあと思いました。朝鮮の文化を紹介してくれるようなものがあってすてきだなあと思いました。これからもがんばってください!」(大西智子)

 ●「10周年おめでとうございます。今回は先生の作品とみなさんの作品の両方を見せてもらい、それぞれの魅力を感じました。みなさんの作品は、自由にそれぞれの作品に元気な感じを受けました。書道を始めたばかりのある学生が、『書道はスポーツだ』と言っていましたが、瞬発力、というものが書にはあると思います。何回も、何回も練習して一発勝負で書くという潔さが魅力なのかもしれません。10年以上書道を続けている女学生は、『書を鑑賞するとその人の気分が伝わってくる』と言っていました。みなさんは表現をするとき、『民族』というものを意識しているようですが、その前にその人そのものが強くあるのだなあと思いました」(森透)

「文字は心の鏡、言葉は民族の鏡」 黄愛民

 ●「正直、字や意味はよくわかりませんでしたが、力強さなど心で感じる作品がたくさんありました」(寺田信之介)

 ●「間近でハングルを見たのは初めてでした。力強さや優しさが一字一字に表れているようでどれも美しい作品だと思います」(川畑亮介)

 ●「民族の知恵と美しさ、粋と力をあらためて実感した良い企画でした」(チョウ・イルナム)

 ●「第10回作品展を心よりお祝い申し上げます。すべての出品作品が多くの感動を与えてくれました。個性がよく表れていると思います。これからも民族文化の伝統を引き継いでいってくれることを願っています」(リム・ゲホ)

 ●「ハングルは読めませんが、それぞれの個性が感じられてとても興味深く楽しませていただきました。私の部屋にもぜひ1枚飾りたいです。同じハングルでも、いろいろな表現があることに感動しました」(松本まゆみ)

 ●「文字に表情があって、絵を見ているような楽しさがありました。読めませんが、何か伝わってくるものがありますね」(山本功子)

[朝鮮新報 2006.7.28]