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南の歌手金元中さん 東京・立川でコンサート、平和と友好の大合唱

「分断に別れ告げよう」 朝鮮学校生徒の歌声 会場に感動の嵐

南の歌手・金元中さんと共に歌う西東京第1初中の生徒たち(8日、多摩教育センター)

 8日、東京・立川の多摩教育センターホールで南のフォーク歌手、金元中さんのコンサートが開かれ、朝・日の聴衆800人が観客席を埋める大盛況となった。

 金さんは光州出身の民衆歌手として人気が高い。80年の光州事件の際には、軍事政権に抗して市民、学生たちと共にデモに参加した。現在は北の子どもたちのためのチャリティーコンサートを南のミュージシャン仲間と共に積極的に開き、その収益を平壌の子どもパン工場建設に寄付して、子どもたちに毎日一万個のパンを提供できるよう活動を続けている。

 この日、大きな拍手に迎えられ舞台に姿を現した金さんは「祖国が分断されて60年にもなろうとしています。別れとは終わりを告げるべきです」と客席に静かに語りかけ、「チンニョエゲ(織姫へ)」を歌い出した。恋人に例えられた祖国分断の痛みと悲しみを切なく歌うバラードに会場は静寂に包まれ、涙する人も多かった。

800人の聴衆が会場を埋めたコンサートのもよう

 同氏の歌は、統一や平和の願いを込めたものが中心で、南では市民集会やデモで歌われてきた。この日も踏まれても踏まれても、強く生き抜く人々を歌った「たけのこ」、光州事件をテーマにした「岩の島」「涙の花」などの名曲が披露された。

 当日のコンサートには、4月から立川市内の公民館で練習を重ねてきた関東地区の180人の日本市民らが作る合唱団と西東京朝鮮第1初中級学校中級部3年生21人が参加した。

 この日、金さんと朝鮮学校生徒を含む大合唱団は02年、広島市立大洲中学3年生の有志が作詞した「ねがい」や、南の民衆歌謡「朝露」を熱唱し、会場の共感を呼んだ。

金元中コンサートの成功を喜ぶ実行委のミニコミ

 西東京第1の生徒らはコンサート終了後、全員で作った詩「祖国統一」を金さんに贈った。この詩には「一つの祖国で共に手をつなぎ、歌うその日のために、私たちは今日、手をつないでみよう」などと歌われている。

 生徒たちは「金元中さんが真っ先に私たちの元に駆けつけて握手をしてくれた」「朝鮮の統一を心から願ってくれている日本の人たちと出会って感動した」「私たちの歌に拍手を送り感動をしてくれた日本の市民たちの姿に心打たれた」などの印象を語っていた。

 同校学父母たちは、「ミサイル発射後の厳しい状況の中、満員の聴衆の前で、臆することなくチマ・チョゴリを着て懸命に歌う女生徒、堂々とした男子生徒たちの姿に胸がいっぱいになった。大きな勇気と感動をもらった」と目頭を押さえていた。

 また、コンサート終了後、同実行委員会には、市民から感動を伝える熱いアンケートがたくさん寄せられた。その一部を紹介する。

 ● すばらしいコンサートありがとう。平和の世界が来ることを願って ● 平和の歌を歌い続けている金さんの姿勢に感銘を受けた ● 誠実な人柄、温かい心が伝わってきました ● 長い間、光州から歌い続けている平和の使者であることに胸が熱くなりました ● 舞台と客席がひとつになって感動、生涯忘れえない。コンサートに参加できて本当に良かった ● 金さんは人柄も温かく、日朝韓のかけ橋になれる人だと思う。再演を期待 ● 日朝合同演奏、大勢で歌詞も演奏も圧巻。ジーンと胸がいっぱいになりました ● 大勢の人が日本語と朝鮮語で歌ったので本当にビックリ。歌は国境を超えて連帯できると思った ● 朝鮮学校の子どもたちを抱きしめた金さんの姿に胸が熱くなり、心が痛みました。絶望に絶望し、その絶望の深さにこそ希望の根は深く確かな水脈を探り当てるのかもしれない。腐った政治と大人に寛大すぎる社会は、子どもたちにあまりにも過酷すぎる。(西東京本部文化部)

[朝鮮新報 2006.7.31]