〈朝鮮と日本の詩人-16-〉 北川冬彦 |
北鮮側は 詩人は、南北に分断された朝鮮人民の不幸な現実を「北と南/鳥どもは/自由に飛び来たっているのに/人間は ぴったり足止めをくらっている」という四行にこめて、心を痛めている。そして最終行の「大迂回」という暗喩をもって、それを強要しているアメリカ占領軍への批判をさりげなく表現すると同時に、平和を愛する心を「兎」「狸」「ノロ」「鴨」という生き物の詩語で象徴している。冬彦は1925年に第一詩集『三半規管喪失』をもって認められ、短詩形をダダイズムと結合させる詩風を独自のものとして確立した。一時「ナップ」にも接近したことがあり、敗戦後はネオ・リアリズムを提唱したことで知られる。(卞宰洙、文芸評論家) [朝鮮新報 2006.8.18] |