〈広島 ミュージカル「交響の慶事」〉 普段からの朝・日交流が礎に |
「対立より手をつなごう」
広島・民族教育60周年記念公演ミュージカル「交響の慶事」上演(8月31日、広島厚生年金会館)に際して、多くの日本の人々の協力と支援が寄せられた。 演出を手がけた文芸同広島の朴英美委員長(広島朝鮮歌舞団団長)はこう語った。 「われわれは広島の地で民族教育を中心に文化芸術を通じて日本の人々と交流を深めてきた。今回の公演もその礎があったからこそ実現できた」
今回の公演について多くの人々が「広島だからできた公演」だと誇らしげにふり返った。実際、公演には、広島の地で民族教育を受け、育った生徒たちと30、40、50代の同胞芸術愛好家たちが中心となり大きな力を発揮した。 司会、ナレーションを務めた鄭光栄さんは、中学校から朝鮮学校に編入し民族教育のすばらしさを肌身で感じた一人だ。「日本の小学校に通っていたころは差別も受けた。民族教育がどういう風に築き上げられてきたのか、私たちがどのように暮らしてきたのか日本の人たちに伝えたい」と一人で100人以上の日本の友人たちを今公演に誘った。
公演実行委員長の広島県商工会・徐一九副会長をはじめとする実行委員らも、公演成功に向けて奔走した。 「政治と芸術はちがうもの」だと、公演出演者をはじめ関係者は口々に言う。 公演を控えた7月、朝鮮が軍事訓練の一環としてミサイルを発射したのに対し、日本当局は万景峰92号の入港を禁止するなどの「制裁」を実施し、朝・日関係はさらに悪化した。当然、在日同胞にも大きな影響が及んだ。 「公演関係者の間では、本当に成功するかどうか不安だった」と河事務局長は言う。しかし、「こういうときだからこそやらねば。私たちは決して対立を望んでいるのではない、明るい未来に向けて手をつなぎともに歩んでいきたいということを公演で伝えなければいけない」という同胞出演者たちの気持ちに力と自信を得たという。 広島朝鮮歌舞団の李明華さんは、「それぞれ表現は違っても、たくさんの人の思いや考えが一つになれる芸術の力のすごさをあらためて実感した」と、新たな発見に目を輝かせていた。(呉陽希記者) [朝鮮新報 2006.9.7] |