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〈9月−保健だより−〉 自己治癒力を生かしたキズの手当て

 学校生活で多いケガのナンバーワンは、すり傷。ころんですりむいた…と、保健室にやってくる子がたくさんいます。

 さて、こんな時は乾かすのか? あるいは密閉して潤してあげるのか? どっちだと思いますか?

擦りむいたときの傷口

 血がにじんだ傷口に最初に駆けつけてくるのは血小板です。血小板は流れる血を固めて止める役割があります。

 次に白血球の仲間がやってきて、傷口のバイ菌や、傷ついて死んだ皮膚の細胞の後片付けをします。その後、傷の修復が始まります。

 このようにけがをした後から順序よく血小板や白血球の仲間が血を止めたり、ばい菌を片付けたりしてくれます。

消毒は必要最小限に

 傷口に消毒薬をつけると、どうなるでしょう? バイ菌をやっつけるので、より早く傷を治せるでしょうか? それはまちがいです。

 消毒薬は確かにバイ菌をやっつける働きをしますが、同時に傷を治すために集まってきた細胞たちもやっつけてしまうのです。

 ですから、消毒薬をつけると傷の治りを遅らせてしまうことになります。

 傷口が汚れているときは、水道水で流しながら洗うと、ほとんどのバイ菌は落ちます。
 消毒薬は必要最小限にとどめるべきだと考えます。

傷は乾かすのではなく、潤すのです

 血が止まったあとに出てくるジクジクした液をご存知ですか? あれは膿ではありません。

 これは傷を治そうと集まってきた細胞で、傷を治すお手伝いをしてくれるのです。

 細胞は乾燥したら働けなくなります。それで、傷口が乾かないように水分を出して、細胞が働きやすくして傷をキレイに跡が残らないようにしてくれます。

モイストヒーリング

 この「ジクジク」を利用して傷口が乾かないようにするには?

 清潔な食用品のラップでおおって乾燥を防ぐのもよい方法です。

 ラップでぐるぐる巻きにしてもいいし、四隅をテープで固定してもいいです。

 さらにその上に絆創膏やガーゼなどをおおって包帯などしましょう(真夏であれば1日に2回交換)。そうすれば数日でピンクのツルツルした肌が出来上がり、治ってしまいます。

 切り傷の時も同じ方法で処置をすれば数日でキレイに治ります。

 これをモイストヒーリング(潤す治療)と言います。

傷の治し方

 傷を治すのは、消毒薬でもなく、絆創膏でもなく、私たち体が持っている不思議な力です。その力をしっかり働けるように、ちょっとお手伝いしてあげましょう。

 (広島朝鮮初中高級学校 元養護教諭 徐千夏)

[朝鮮新報 2006.9.15]