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ポジャギ650点展示「つなぐ心包む心」作品展 神戸でも大盛況 600人が観覧

懐かしい民族の香

 創作作家李玉禮と仲間たちによる「つなぐ心包む心 ボジャギ作品展」が、9月16、17の両日、兵庫県神戸市灘区の王子市民ギャラリーで開かれ、約600人が会場に足を運び、伝統美豊かなポジャギの世界を堪能した。今回の展示会は、NHK文化センターの後援によるもの。朝鮮半島伝統文化研究会の専門部研究生、女性同盟の各地パヌジル教室、NHK文化センターの大阪、京都、神戸、京阪各ポジャギ教室、コープこうべ生活文化センター、コープカルチャー姫路各教室の受講生ら150余人が出品した約650点のポジャギと手芸小物380点が展示された。

たくさんの人たちが足を運んだポジャギ展(神戸市・王子市民ギャラリー)

 李玉禮さん(79)は40余年を民族教育の現場で過ごしたのち、創作人形の制作に取り組み、これまでの10余年間に、一つひとつの手仕事で作った人形は100体を数える。一方で5年前から「日本生まれの2、3世にも母国の文化を知ってほしい」と、神戸などで教室を開講。

 さらに今年6月、エッセーを交えて、これまで手がけた作品を紹介する写真集「ふるさと夢の国」を出版したばかり。

 会場には、李さんの人形30体と教室の会員らがていねいに仕上げた意欲作が飾られた。

 天井につるされた色鮮やかな麻布。幾何学模様の素朴な布から漏れる柔らかな光の下で、チョゴリ姿の人形たちが朝鮮の農村に伝わる結婚式や糸紡ぎを再現していた。

 李さんの作品は、朝鮮の農村で昼は畑仕事、夜は機織りや針仕事などの厳しい労働によって生計を支えていた働く女性たちの姿を再現したリアリティーのあるものが多い。貧しい暮らしの中で、伝統文化を脈々と繋いできた女性たちの姿が浮かび上がる。

650点が展示された会場

 各教室の会員たちの作品もどれも力作ばかり。なかには畳2枚以上の大作や13人による合作が展示されて、観客の目を引いていた。

 会場を訪れた兵庫県立教育研修所の志方正典さんは、「神戸市でこのようなぬくもり溢れるポジャギ展が催されることは意義深い」と語った。

 川西市からやってきた大塚艶子さん(67)は「今朝、新聞を見て、ほかの用事をキャンセルして来させて戴きました。どの作品もすばらしく出会えたことに感謝、感激しています。窓から差し込む光に映えるポジャギが、よりすばらしく思えました。また、愛らしい人形さんたちの姿に生活の一端が伺え、平和な暮らしが続いてほしいと思いました」と感想を記した。

 また、神戸在住のある同胞は「私の知らない朝鮮の歴史、文化の一面を垣間見ることができたことをうれしく思います。私は在日ですが、こういう祖国の文化や伝統を祖父母や親から伝え聞くことができなかったので、今回の展示会を通して先祖の偉大さを実感でき、とても新鮮さを感じました。これからもいろいろな機会を作って、まだ、民族の伝統や風習、生活様式を知らない人たちに発信していってほしい」とエールを送っていた。

 李さんは「異国に生まれ、育ちゆく3、4世たちに、民族の伝統的な暮らしやふるさとのぬくもりを感じてほしい。また、日本の人たちにも隣国の奥深く、素朴な文化の香りを味わっていただければと思う。今後も機会があれば、このような催しを続けたい」とほほえんだ。(神戸展示会実行委員会)

[朝鮮新報 2006.9.29]