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くらしの周辺−ハラボジ、ハルモニパワー

 先日、とあるデイサービスセンターで慰問公演をしたときのこと。その日は20人ほどのハラボジ、ハルモニがいらっしゃった。

 公演が始まると、みなさんが手拍子で一緒に歌を歌ってくれた。私の出番。私は民謡を歌いながら舞台に一番遠い場所にいたハルモニへと向かった。私が手を差しのべ一緒に踊りましょうと誘ったところ、「うちは足が痛いけぇ、ええんよ」と、あっさり断られた。私が見ず知らずの人だからだろうか、それでもチュムパンの輪の中に入っていないハルモニが気になった。

 公演も佳境をむかえたとき、一人のハラボジが「マイク貸してくれ!」と言い、私がマイクをサッと渡すと、「気分がいいからわしも歌う!」と歌舞団顔負けのレパートリーを披露。ハラボジ一人で気持ちよく5曲ほどを歌ったとき、今度はハルモニがマイクを。あ、さっきのハルモニ!

 なんと一番後ろから走って来てはマイクを持って楽しく歌っているではないか! その楽しそうで明るい笑顔は誰にもマネできない。朝鮮民謡の秘められたパワーなのだろうか、ハルモニのハートに火がついたのか。私は足が痛いからと一緒に踊ることができなかったハルモニを見て、ニヤッと笑った。一世のパワーはあなどれない。

 各地にある8歌舞団の行く先々でこのようなハラボジ、ハルモニを見てきたと思う。在日社会のありようは1世たちの魂が私たちのハートに火をつけ、それが次世代に引き継がれてきたのだ。

 ハラボジ、ハルモニ、いつまでもお元気で! またお会いしましょう。(河弘哲、広島朝鮮歌舞団団員)

[朝鮮新報 2006.10.3]