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第35回在日朝鮮学生美術展 1万1177点出品、3点に特別金賞

すこやかな感性、のびのびと

共生(特別金賞、西東京第1初中、中3、李晶玉)

 第35回在日朝鮮学生美術展が18〜22日まで東京朝鮮文化会館で行われた。9月から日本各地8カ所で巡回展示されている今回の美術展には、日本各地の幼稚班から高級部までの園児、生徒らが応募し、初級部から高級部まで計1万1177点が出品された。

 そのうち、西東京第1朝鮮初中級学校・李晶玉さん(中3)の「共生」、東京朝鮮中高級学校・金栄愛さん(高3)の「五千年放浪記」、東京朝鮮中高級学校・崔龍日さん(高3)の「百済七支刀」が特別金賞に、優秀賞に初級部352作品(低学年−184作品、高学年−168作品)、中級部101作品、高級部2作品が輝いた。高級部部門で金賞14作品、銀賞18作品、銅賞18作品が選ばれ、その他1554作品が佳作、2038作品が入選した。

 また、東京中高(中級部、高級部)と神戸朝高に最優秀部活賞が、大阪朝高、東京第4(中級部)、西東京第1(中級部)、東大阪(中級部)に優秀部活賞が授与された。

五千年放浪記(特別金賞、東京中高、高3、金栄愛)

 美術展では佳作以上の作品が日本各地で展示、入選作品は地域ごとに展示されている。

 東京展の会場では、東京朝高卒業生の歴代入賞作品と、「南北コリアと日本ともだち展」も同時に展示された。 

 美術展は来年3月まで続き、以後京都(11月9〜11日)、神奈川(11月17〜21日)、福岡(11月30日〜12月5日)、大阪(2月28日〜3月4日)で開かれる。

民族教育の積み重ね感じる

百済七支刀(特別金賞、東京中高、高3、崔龍日)

 今美術展の特徴はまず、初、中級部の作品に色が強く、明るくて澄んだ世界を感じられる作品が多かったことである。

 家庭や学校生活の中で学び、感じた感動を素直に作品化している。写生画、生活画のどちらも、ただそこにある物や風景を再現するのではなく、体験したことを描く絵日記的なものでもなく、生活感情を強く描き表そうとしている。いろいろな材料を使い工夫することで自分なりの表現の仕方をつかみ、いいたいことを表している作品が多い。

 もちろんそれは、指導に当たっている教員が子どもたちとの具体的なやり取りのなかで、学年や個人の水準に見合った表現方法を数多く取り入れ、無理のない表現活動をさせているからにほかならない。ここに民族教育の積み重ねを感じる。

 アニメーションやCGを使った作品が初級部に出てきていることも特徴の一つである。想像画の中には、朝鮮民画の世界にタイムスリップしたものなどウリハッキョの子どもらしい発想も多く、明らかに机からはみ出し、教室中を物だらけにしながら作ったであろう立体作品などは、見るからに子どもたちが創作や発見の喜びに興奮し授業を楽しんでいる姿が想像できる。

 中、高級部生の授業作品には自分と社会、環境などの関わりに目を向けたものと、自身の感情を掘り起こした作品が去年に続き多く評価された。「うまい絵」ではなく、感情表現としての美術が見て取れる。在日としての自分を見つめた自画像から、世界で問題になっている環境問題にいたるまで、難しい問題から目をそらさずに立ち向かい自分なりの表現をしようとしている。

 高級部美術部の作品は、はっきりとした創作意図が読み取れるいい作品が多かった。以前は、大作に挑もうとして不完全燃焼に終わったものもあったが、今回は創作過程の文作などを通して試行錯誤し工夫をこらすなど格闘のすえに、それなりに消化している。

 必然的に作品のテーマやジャンルが広がった。絵画に加え金属やプラスティックなどを加工したもの、オブジェ、RPG、CGなどと見る者を飽きさせない。また、地域の差はなくなったといえる。他校との交流(とくに全国高級部合同合宿での深い交流)や部展などへの積極的な取り組みの成果は著しい。

 最後に、これからも現場の美術教員たちが子どもたちの人格と個性を尊重しつつ、健全な心を育てるためにたゆまない努力を続け、民族教育を発展させていくことを期待したい。(在日朝鮮学生美術展覧会中央審査委員会)

[朝鮮新報 2006.10.24]