第39回学生中央芸術コンクールから 1年の集大成 力込め |
中等教育実施60周年記念第39回在日朝鮮学生中央芸術コンクールが10月30〜31の2日間、東京朝鮮文化会館(東京都北区)および都内の文化施設で行われ、日本各地の中級部、高級部から声楽、民族器楽、洋楽器、舞踊の4部門に189演目1727人が参加した(初級部のコンクールは10月に開催)。朝鮮学校で声楽や舞踊、器楽など文化系の部活に所属する生徒たちにとって、中央芸術コンクールは1年の活動の集大成。夏休みも返上し、この日のために毎日部活に汗を流してきた。今年もさまざまな思いを抱き、コンクールに挑む生徒、教員たちの真剣な姿があった。 広島、岡山、徳山、四国 小さな力あわせ大きな金賞 「涙が止まらない」
「緊張しています。中学最後の大会なのでがんばります」と徳山朝鮮初中級学校の姜有紀さん(中3)は目を輝かす。 今年、中級部舞踊群舞部門で初めての試みがあった。 広島朝高学区制の広島、岡山、徳山、四国4校の合同作品での参加だ。 舞踊部門の規定で重舞は5人まで、群舞はそれ以上となっている。しかし、学生数の減少とともに部員の数も減り、群舞での出演が困難な学校も多数ある。 広島を除くこれらの3校(徳山4人、岡山3人、四国1人)もそんな状況だった。 中四国、九州地方では3年前から夏休みに舞踊講習会を行っており、教員たちの間でも合同で出演できないかという意見が交わされていた。
そして今年、8月31日に広島で民族教育60周年を記念しミュージカルが上演された際に、広島朝高学区制の学校合同で群舞を披露、今回の中央芸術コンクール出演につながった。 ミュージカルからコンクールまで4校そろっての練習は全7回。 学校が地理的に遠く一緒に練習できないという悪条件の中でも、ひとつの作品を完成させるために生徒、教員が気持ちをひとつにした。 指導にあたった広島朝鮮初中高級学校の李美和教員(26)は、不安や迷いはあったが得るものも非常に多かったとしながら、「練習の過程で、生徒たちも教員たちも学校の垣根を超えて互いに助けあう気持ちが生まれた。 少人数でも舞踊が好きでがんばっている生徒たちが力を合わせればより大きな力を発揮できるということを実感した」と述べた。 結果はみごと金賞。金賞の中でもきわめて優れた作品に与えられる優秀作品にも輝いた。これに選ばれると、2日目の表彰式のあとに行われる優秀作品発表会に出演できる。 岡山初中の張由華さん(中3)は、「優秀作品の知らせを聞いたとき、驚きと感動で涙がとまらなかった」といい、広島初中高の白未聖、゙賢亜さん(中3)は、「みんなで踊るのがこれで最後だと思うと寂しいけど、高級部になればまた一緒に踊れるので楽しみだ」と述べながら「16人の気持ちを一つにして思いっきり踊ります」とほほえんだ。 ずっとチャンダン楽しみたい
日本で生まれた子どもたちにとって部活を通して民族の歌や踊り、楽器などに取り組むことは、民族性を培う上で大きな役割を果たしている。 生徒たちは卒業後、プロとして金剛山歌劇団や地方歌舞団などで活動したり、地方での民族文化の担い手として後進の育成に励んだり、また趣味としても楽しんでいる。 九州朝鮮中高級学校では新校舎が建てられた04年4月、民族打楽器部が設立された。 指導にあたる李昌導教員(26)は学生時代、チャンゴに親しみ芸術コンクールにも出演した。 「自分自身チャンゴに出会えて本当によかったと思っている。ここから自分のルーツを知ることができたし、何よりもチャンダン(リズム)を奏でているときが一番楽しかった。そのような経験のある自分たちが次の世代に民族の伝統文化を伝えていかなければ」と部活設立を学校に提起した。 練習は週に1回。生徒たちはサッカー、バスケットボール、舞踊部などと掛け持ちで所属している。「技術よりも大切なのは心」だと、常に生徒たちに説く。 基礎練習をしっかりしながらも、「チャンダンをどう楽しむか」ということがまず大事だと語る。 「異国で朝鮮人として生まれた生徒たちが部活を通じて民族情緒を楽しみながら身につけていくことは、未来の豊かな同胞社会を築いていくうえで礎になっていくと思う」(李教員) 今回、李教員の指導した九州中高の民族打楽器演奏も見事金賞を受賞し、優秀作品に輝いた。心からチャンダンを楽しみ、民族の味が溢れる演奏をする生徒たちに会場からは大きな拍手が沸いた。(呉陽希記者) [朝鮮新報 2006.11.8] |