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〈本の紹介〉 斎藤貴男著「住基ネットの〈真実〉を暴く」

 本書は住基ネットなる国家的プロジェクトに対して危機感を抱く著者の、国などを相手取り起こした裁判の記録である。

 「住基ネット=国民総背番号制度が本格的に動き出せば、それは他のICカード関連プロジェクトなどとも連動して、国民一人ひとりの一挙手一投足が行政および企業によって把握され、監視されてしまう。

 国民総背番号制度だけではない。警察による市民の電話の盗み聞きを合法化した盗聴法(通信傍受法)、来日してきた16歳以上の外国人に顔写真と指紋の採取を強制する改正入国管理法、犯罪を実行しなくても話し合っただけで逮捕、起訴できる「共謀罪」の法制化問題、街中に張り巡らされた監視カメラ網にはやがて顔写真データベースを瞬時に照合できる顔認識システムが連動されていく計画だ。徹底した国民監視社会へのメニューは政府のシナリオどおり途切れることなく敷き詰められていく。

 「人間が人間である権利を求めて」社会に警鐘を鳴らし続けてきた著者の抵抗の記録。(岩波ブックレット、TEL 03・5210・4000)

[朝鮮新報 2006.12.19]