top_rogo.gif (16396 bytes)

NPO法人京都コリアン生活センター エルファ、5周年記念誌「エルファ」刊行

共に生きる大切さ実感

日本の中学生たちに「仲良くしなあかんよ。いろんなひとと、国なんか関係なく」と語るハンメ

ヘルパーとのふれあい

 NPO法人京都コリアン生活センター「エルファ」が生まれて5年。本書はその歩みを記念して編まれたもので、この一冊を手にとれば、「エルファ」のすべてが理解できるようになっている。

 とりわけすばらしいのは、写真の豊富さと被写体のハルモニたちの生き生きとした生活ぶりであろう。

 5年前をふり返って、鄭禧淳理事長は、祖国を奪われ、渡日し、あらゆる苦難の日々を送って高齢期を迎えた「在日コリアン一世たちの『アイゴー』のため息と涙の人生を、笑顔と喜びに満ちた『エルファ』な人生に変えたいという仲間の想いが活動の原動力となった」と語る。

 ふれあいのたびに広がる「共生の輪」は、この活動が「共に生きる大切さ」を実感させてくれたと強調する。

 デイサービスエルファへの見学者は、京都市内だけでなく日本各地、海外にも及び、小、中、高、大学生、社会人、各種団体まで年間500人を超えるという。目的は総合、人権学習、多文化フィールドワーク、聞き取り調査、進路、教員研修と実に多様。当初、利用者たちにとって、多い日は20人にのぼるという見学者の来所は、負担になるのではないかとの心配もあったが、それは杞憂で終わった。

 「こんなわしらに会いに来てくれて、ほんまにありがとう」と笑顔で迎えるハラボジ、ハルモニたち。手を握り、頭を撫でながら在日コリアンの生の声を聞きに来た一人ひとりに一生懸命話しかける姿。決して雄弁ではないが、人間としての大らかさ、温かさ、真実の言葉が来訪者たちの胸を打つのである。

 そこを基点にまた新しい交流が始まり、人の輪がどんどん広がっていく。昨今の厳しい情勢や介護をめぐる行政の後退。そうした向かい風をものともせず、無から有を生み出し、同胞同士のきずなを深め、地域や日本市民たちの力強い支援を受けながら根づいた「エルファ」。

 ここを訪れた中学2年生の横田明莉さんは「人間として立派なおばあちゃんなのに、昔、理由もなく馬鹿にされ、辛い思いをしたこと。それも私と同じ日本人のせいだということ。そんな事実があって、それを受け止め、変えていかなければならないことを知りました」と語っている。

 この言葉は、「エルファ」に関わったすべての人たちへの力強いエールとなるだろう。(粉)

[朝鮮新報 2006.12.23]