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〈第84回全国高校サッカー選手権大会〉 初勝利、準々決勝戦進出に歓喜

同胞スタンド 吹奏楽に乗り熱い応援

 「チョーゴ(朝高)、チョーゴ」−。競技場に同胞応援団の応援がこだまする。大阪、東京両朝高吹奏楽部による15余曲の応援歌が、試合中1分も途切れずに鳴り響く。

 「全体的にブワっと来るような大阪の統一感に満ちた応援」(大会スタッフ談)が試合開始早々、勢いを増す。

 試合中、興奮する生徒に「おちついて、座りなさい」という教員。ここ一番のチャンスに「そこや、あー!」とのけぞる同胞、専門用語を混ぜながら応援する同胞、自分の子どもの名前をただひたすらに叫ぶ学父母など、それぞれの想いを胸に同胞らは選手らに声援を送った。ピンチには「DF集中」、朝高のパスカットに「そら、いけー、カウンターや!」、ゴール前のチャンスには「(シュート)打たなあかん」と、声を荒げた。

 3回戦までの各得点後、悲鳴に近い声で興奮し、「いれたで!」と携帯電話で電話する学父母の姿。

 朝高の歴史的な選手権1勝により、同胞らは最高の正月を迎えた。第2戦の岐阜工業高校戦でも終始応援の声は鳴りやまなかった。

 12月31日の1回戦から同胞応援席に座り、選手らに熱い視線を送った佐伯栄太さん。府大会決勝で朝高に負けた清風高校の選手だ。自分たちを負かした確かな実力、大阪の力を生で見たかったという。そのため東京で年を越した。「自分たちの分までがんばってほしい」。

 また応援団の最前線で指揮を執っていた応援団長の河慶秀野球部主将と李セピョルバスケットボール部主将。かれた声で「応援でのどが痛いが、少しでも力になってくれれば」と応援、熱がこもる。

 3日の3回戦。

 「打倒、国見!」。大声援の中、試合開始。

 開始とともに競技場に鳴り響く洪昌守選手の入場曲でおなじみの「ヘアンポビョン(海岸砲兵)の歌」。選手、応援席の同胞らの身も引き締まる。

 風下の前半。ゴールキックは風に戻される。国見の怒涛の攻めをGK朴寛明選手がファインセーブする。同胞らは「ナイスや、寛明!」「でも心臓止まりそうや」と、顔を紅潮させ国見のスピードあふれる攻めにひやひやしながら、戦況を心配そうに見守る。1、2回戦に比べ同胞らに笑顔は少なく、学父母らは心配そうに試合を見つめていた。

 「最後まで走れ!」「声出して!」−応援席から檄が飛ぶ。

 後半。熱く統一感のある応援がなりやまない。

 後半33分、心臓に突き刺さるプク、クェンガリの音が一瞬鳴り止み、同時にその音よりも数倍大きな同胞の歓声が競技場を包んだ。ついに朝高がゴール。同胞らは総立ちになり、抱き合って喜びを表現。

 その後、同胞らは試合終了までの残り数分、手すりに身を任せ前のめりに戦況を見つめる。

 そして試合終了のホイッスル。

 得点したMF梁泰雄選手のオモニ、高正淑さんは言葉にならない様子。「息子が同胞にとって、とても重い1点を入れた」。

 清風の佐伯さんは「うれしい、うらやましい。次も勝って国立競技場(準決勝以降)の舞台に立ってほしい」。

 安泰成主将のアボジ安聖友さんは国立を目指すよりも、「まずは次戦が大事」と気持ちを引き締めた。

 兪基奉校長は、全国での3勝目を目の当たりにし、「感慨無量。次も勝ちたい」と4勝目への意欲を見せた。

 FW趙栄志選手のオモニ、金明子さんは、全国ベスト8の快挙に「信じられない」と喜んでいた。(李東浩記者)

[朝鮮新報 2006.1.5]