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〈近畿ラグビー大会〉 大阪朝高 初の選抜大会出場権獲得、計算通り 余裕の戦い 2回戦を圧勝

4月3日に三本木農と対戦 東京朝高も長崎と

全国選抜大会へのキップを手にした2回戦の試合

 第57回近畿高等学校ラグビーフットボール大会の2回戦が23日、近鉄花園ラグビー場第2グラウンドで行われ、大阪朝高は御所工業高校(奈良県代表)に33−12で勝利し、4月3日から埼玉県熊谷市で開催される第7回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会への出場権を獲得した。同部が選抜大会に出場するのは初めて。大阪朝高は25日に行われた準決勝で東海大仰星(大阪)に0−57で敗退。つづく27日の3位決定戦では啓光学園(大阪)と対戦し、24−38で惜敗した。すでにチャレンジ枠(全国2校)で出場が決まっている東京朝高。朝高ラグビー史上初となる、全国大会での「朝高対決」の可能性が生まれた。

 全国の最激戦区大阪はじめ、何校もの全国王者を生み出した近畿ブロックに与えられた選抜大会出場枠は5つ。各府県大会を勝ち抜いた16校による近畿大会では準決勝進出をかけた2回戦を突破すれば全国への扉が開くことになる。

朝高生として初めて日本の公式大会で選手宣誓を務めた鄭圭哲主将(写真提供=大阪朝高)

 1回戦で滋賀県代表の八幡工業高校を39−0で下した大阪朝高は、2回戦でも「全国区の力」を存分に見せつけた。

 朝高は御所工業高校(奈良代表)と対戦。試合は序盤から、体格で上回る朝高がフォワードのパワープレーで敵陣深くまでボールを進めるが、御所工の低いタックルに苦しみ、なかなかトライを決めることができない。しかし朝高は力勝負にこだわった。

 均衡が破れたのは、前半25分。相手ゴールライン直前のラックからボールを手にした全甲成選手(2年)が左へともぐり、ラインギリギリの所にトライ、ゴールキックも決まり7−0で前半を折り返した。

 後半に入ると、朝高の戦術が見事に的中した。かたくなに続けたフォワードのパワープレーが御所工にボディーブローのように効いていたのだ。体力を奪われた御所工ディフェンスの出だしが鈍りだした。後半5分には、センターライン付近から金誠太選手(2年)がハイパントを蹴りこむと、走り込んできた金聊彦選手(2年)が見事にキャッチし、独走で中央へと余裕のトライを決めた。目が覚めるようなプレーに観客席もどよめいた。

初戦を突破した大阪朝高ラグビー部(写真提供=大阪朝高)

 そのあと朝高は自陣エリアでのミスから御所工にトライを許すも、16分、23分とトライを重ね、試合終了間際の30分には、李一貴選手(1年)がダメ押しとなるトライ。大阪朝高は横綱相撲で試合をものにした。

 鄭圭哲主将は「100%自分たちの力を出し切れば勝てると思っていた」と話しながら、前半は緊張からみんな思うようにプレーできなかったが、後半は朝高のラグビーができたと試合を振り返った。

 金信男監督は、序盤に相手の献身的な低いタックルに苦しんだと認めながら、あえてパワープレーにこだわったのは、後半になれば体格差で劣る御所工の体力が落ち朝高ペースになると考えていたと、計算どおりの試合運びであったことをにおわせた。

 金監督は御所工の監督と親交が深い。これまでにも幾度となく練習試合を行ってきた。互いに手の内を知る者同士の試合で、やりづらさもあったと金監督は話す。それでも試合後の金監督の表情には達成感がみなぎっていたわけではない。勝てる打算が大きかったこと、そして、すでに選抜大会が視野に入っていることがうかがえた。「冬の予選(全国高等学校ラグビー大会)で負けていたので、この大会への準備が十分にできていた」と金監督は話す。

 選抜大会での目標を、金監督そして選手たちは口をそろえて、「(優勝が目標だが)一つひとつ勝ち進む」ことだと語る。先の目標を掲げるのではなく、目の前の敵をなぎ倒すことに全神経を集中させると話す。それが大阪朝高ラグビーの真髄でもある。

 この日もスタンドからは朝高選手の背中を押す、熱い応援が聞こえた。試合を決定づけた4つ目のトライなど2トライを決めた池尚希選手(2年)のオモニ・趙早苗さん(50)は、試合後興奮した様子で息子たちの勝利を喜んだ。「先生、ラグビー部OBたちの温かいバックアップの中で選手たちは成長してきた」と語りながら、部員すべてが自分の息子たちのように誇らしいと話していた。

 大阪朝高の出場権獲得により、すでにチャレンジ枠で出場が決まっている東京朝高との「朝高対決」の可能性が生まれた。ボクシング以外の競技で、日本の全国大会で朝高選手たちが対戦すれば、朝高スポーツ史に新たな1ページを刻むことになる。

 選抜大会の組み合わせの結果、東京朝高は4月3日に長崎北(長崎)と、大阪朝高も同日、三本木農(青森)と対戦する。朝高対決が生まれるのは、両校が決勝戦に進んだ場合のみ。しかし、全国大会への東西両朝高の初出場により、これから先、全国の舞台での朝高東西の雄が死闘を繰り広げる姿を目撃する日もそう遠くないことが立証された。

 また、近畿大会の選手宣誓は鄭主将が務めた。日本の公式大会で朝高選手が宣誓を行うのは、初めてのことだ。(鄭茂憲記者)

[朝鮮新報 2006.3.28]