〈第17回全国高等学校ボクシング選抜大会〉 大阪朝高・金在鴻選手が金 |
片洸宙(広島)、任龍壎(東京)選手も健闘 第17回全国高等学校ボクシング選抜大会(兼JOCジュニアオリンピックカップ)が22〜25日にかけてウェルサンピア京都で行われ、大阪朝高の金在鴻選手(2年)がライトウェルター級(64キロ)で金メダルを獲得。大会3賞の敢闘賞も受賞した。また、広島朝高の片洸宙選手(2年、ライト級)と東京朝高の任龍壎選手(2年、ライトウェルター級)も健闘した。東京朝高の金秀憲選手(2年、ウェルター級)は棄権。大会への出場を見合わせた。同大会での朝高生の優勝は2年ぶり6人目。大阪朝高では5人目の快挙となる。 最高の誕生日プレゼント
決勝戦、最後の判定(11−7)が下るまで優勝できるか「わからなかった」という金在鴻選手。「チョソンサラムである自分が今日のような大会で優勝すれば、同胞が喜んでくれる」。ウリハッキョの「看板」を背負い、今大会、インターハイ、国体の「3冠獲得」のプレッシャーを両拳にかけて挑んだ。 対戦相手は攻撃力、フットワークの軽さが武器の、金選手と同じ中距離から攻めるボクサーファイター。 1Rは緊張のためか力んでパンチが当たらず、「やりづらかった」(金選手)。しかし、2Rからは動きも良くなり、得意の右ストレートが決まる。狙い通りの左カウンターも入り、リズムをつかんだ。 迎えた3R、自分の距離をつかみ左ジャブと右ストレートがヒットした。「最後は闘志だけ。ダウンを狙っていた」(金選手)という最終4R。距離を詰められるが右フック、左ストレート、フェイントからの左フックと有効打を確実に決め、判定勝ちを収めた。 「パンチに勢いがあり、横の動きが素早くとらえにくかった。完全にリズムを崩された」と対戦相手に言わしめた。
リングを降り、梁監督と握手した金選手の目からは、熱いものが流れていた。 試合後、金選手は26日に誕生日を迎えたオモニの崔明順さん(52)に「コマプスムニダ」と一礼し、「これ飲んで回復しいや」と栄養ドリンクを手渡された。金メダルが最高の誕生日プレゼントとなった。 優勝と敢闘賞を獲得した金選手だが、「毎試合簡単ではなかった」と梁学哲監督は振り返る。とくにシードで挑んだ初戦(2回戦)は、ポイントで7点差をつけたが、注意を2回もらい(3回で失格)、危うかった。 モチベーションを高めて挑んだ2戦目(準決勝)、サウスポー相手に2R、カウンターでダウンを奪う。流れを変え、自分のペースで有効打を浴びせた。 3冠に向けては、「体が小さいのでフィジカル面に磨きをかけ、ラウンドごとにリズムを変える必要がある。まだまだ練習が必要だ」と梁監督は語った。 「2冠」を獲得したOBの朴忠南さん(19、同志社大学ボクシング部)は「ボクシングを『どう楽しむか』が大事だと思う。『勝つ』という一点張りではしんどいから」と述べた。 在日本朝鮮人ボクシング協会の李学宰会長(53)は、「技術面はまだまだ。しかし精神力と根性の強さがここ10年間の中ではずば抜けている。朝鮮の国家代表になる可能性も十分にある」と評した。 「応援してくれた同胞に感謝」
片洸宙、任龍壎の両選手はそれぞれ2回戦、1回戦で惜しくも敗退した。 片選手は初戦、大振りなパンチが目立った1Rとはうってかわって、2Rには相手から2回のダウンを奪って押し気味に試合を進め、RSC勝利(1分5秒)。同校史上初の選抜大会勝利を手にした。 ベスト4を目標にしてきた片選手は、「応援してくれた同胞はじめ、関係者に感謝したい。5月末から始まる県大会で優勝し、インターハイで広島朝高初のベスト4を目指す」と意気込んだ。 一方、任龍壎選手の初戦の相手は、準決勝で金在鴻選手が下した実力者。優勝候補の1人だった。 試合は、手数で勝る左アウトボクサーの対戦相手に翻弄され3R1分31秒でRSC負けを喫した。 試合後、任選手は、「もちろん優勝を狙っていた。監督や父母をはじめ、たくさんの人たちの期待に報いたかった。打撃後のガードが甘かった。まずは関東大会で結果を残したい」と語った。(文=李東浩記者、写真=姜鐘錫記者) [朝鮮新報 2006.3.30] |