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2010年W杯へ 強化著しい朝鮮サッカー界

国際経験積み、ユース強化、在日蹴球協会支援

 サッカーW杯ドイツ大会の決勝戦が9日に行われ、イタリアの優勝で幕を閉じた。南朝鮮代表は、前回大会の4強に続き今大会でも活躍が期待されたが、惜しくも1次リーグで敗退。アジアと世界とのレベルの違いを痛感させられた大会でもあった。しかし、W杯であげた海外開催初の1勝と勝点4はそれでも価値のあるもので今後への糧になったにちがいない。一方、昨年のW杯アジア最終予選で破れた朝鮮代表。4年後の南アフリカ大会出場を見据え、国際経験を積んでレベルアップを図ろうとさまざまな強化を施している。今までの動きをまとめてみた。

国際交流盛んに

U−17サッカー世界選手権でベスト8に入った朝鮮代表(05年10月、ペルー)

 W杯最終予選敗退の原因として挙げられたのが国際経験の不足。それらを補うための国際的な交流を促進させている。

 国際サッカー連盟(FIFA)は5月、金日成競技場に人工芝を寄贈、アジアサッカー連盟(AFC)は平壌で4、6月に朝鮮の各体育団のサッカー監督を対象に講習会を開いた。

 とくに1月、FIFAの支援で5万uの敷地に建設された国家総合体育団傘下のサッカー練習場は、6つのサッカー場と各種ウエイトトレーニング施設を備えている。各種国際大会にも積極的に参加し、昨年11月、マカオで開催された東アジア大会と12月、タイで開かれたキングスカップで準優勝の成績を収めた。

 また、W杯アジア最終予選を控え、中国でキャンプを張ったほか、今年4月25日にはロシアの1部リーグチームのクリリア・ソビエトフ関係者らが朝鮮選手を自国のテスト競技に参加させるため、平壌を訪れた。朝鮮側も積極的に派遣する意向を示し、今後、こういった動きが加速されると思われる。

めざましい在日選手の活躍

在日サッカー選手の活躍も著しい(写真は第84回全国高校サッカー選手権の大阪朝高×国見戦)

 国際的なサッカーの流れを受け入れるため、在日本朝鮮蹴球協会の協力も大きな力となった。これまであまり実現されなかった在日同胞選手を代表入りさせるため関係者らが何度も掛け合った。Kリーグ・釜山アイパークの安英学、サンフレッチェ広島で活躍する李漢宰選手は朝鮮代表の主力として活躍。

 また、第4回東アジア大会ではベガルタ仙台の梁勇基選手も朝鮮代表となり活躍を見せた。一方で、第84回全国高校サッカー選手権大会で旋風を起こした大阪朝鮮高級学校サッカー部の8強により、朝鮮でも在日サッカー選手たちへの注目度がいっそう高まりつつあるようだ。在日同胞プロ選手の朝鮮代表入りも今後の楽しみの一つだといえる。

 このような動きを踏まえ、朝鮮蹴球協会は在日本朝鮮人蹴球協会の活動を評価し、今後の支援をスムーズに行えるよう同協会の文章弘会長を朝鮮蹴球協会副委員長に任命した。

世界驚かせたユース世代

 ユース代表選手たちの目覚ましい活躍ぶりもあって、朝鮮国内では次回のW杯に大きな期待を寄せている。世界をあっと驚かせたのが昨年9月、ペルーで行われたU−17世界選手権。朝鮮代表チームは強豪を破って堂々8強入りした。4強進出をかけたブラジルとの試合では延長戦にもつれ込む死闘を繰り広げたが、1−3で惜しくも敗れた。

 中でもグループリーグで3ゴールを挙げたチェ・ミョンホ選手は、FIFAが選定する「未来のスター選手」の13人中の1人に選ばれた。また、同選手はアジアサッカー連盟からユースの年間最優秀選手賞も受賞した。

 同ユース代表チームは今年2月、国内の「白頭山賞」体育競技大会にオブザーバーとして参加。国内強豪の各体育団を破って堂々1位となり、内外での評価を確固たるものにしている。

 国際的な流れにも連携した朝鮮蹴球協会の幅広い活動、国際大会で自分たちのレベルを確認したユース代表、朝鮮代表を側面で支援する在日朝鮮人蹴球協会の活動が、2010年W杯で1966年イングランド大会8強再現への大きな原動力となるか。今後の動きとその活躍に期待が持たれる。(c)

[朝鮮新報 2006.7.13]