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06インターハイ競泳 九州朝高・金亜蘭選手 100、200メートル共に予選落ち

次は国体で雪辱を

200メートル自由形。予選突破はならなかったが、10月の国体に賭ける金選手

 今年度インターハイの水泳競技・第74回日本高等学校選手権水泳競技大会が17〜20日、大阪府立門真スポーツセンターで行われ、九州朝鮮中高級学校の金亜蘭選手(高3)が3年連続で競泳競技に出場した。3歳から始めた水泳の「集大成」として迎えた大会だったが、100、200メートル自由形で共に予選落ちとなった。しかし、これで終わったわけではない。10月の兵庫国体への出場を決めた金選手は、あふれる涙をぬぐい雪辱を誓った。

 「オモニ、ごめん…」−オモニの姿が見えるとグッとこらえた感情があふれ出し、顔を肩にうずめて泣いた。力を出せない自分のふがいなさ、今までずっと支えてくれたオモニのために結果を残せなかった自分が許せなかった。高級部で最後となるインターハイに賭けていただけに、表情からは悔しさがこみ上げていた。

 応援に駆けつけた大阪の同胞たちもその姿を見て、ただ見守るしかなかった。

 18日の200メートル自由形予選6組。スタート台に立つ金選手の表情には緊張の色が見え隠れしていた。

 スタートの合図とともに勢いよくプールに飛び込んだ。得意種目の200メートルだったが、最後の50メートルからなかなか伸びていかなかった。結果、予選6組は10人中7位。総合順位は54人中30位となった。翌日の19日、100メートル自由形予選でも総合25位と結果を出せなかった。

 九州大会では大会記録を更新、順調な仕上がりを見せていた。目標とした「決勝への進出」も疑いの余地はなかった。「決勝に残る自信はあったし、この日のためにつらい練習もこなしてきた」。

 しかし、何が起こるかわからないのがインターハイ。「全国」の舞台には魔物が住んでいる。自信と意気込みはプレッシャーへと変わっていた。金選手は、「水の中に入ると体が死んでいた。応援に来てくれている分、結果をださなくてはというプレッシャーもあった。でも全部自分が悪いし、甘い部分があった。健康管理、食事とかさまざまな面で支えてくれたオモニのためにも結果を残したかった…。国体では結果を残したい」とふり返った。

 オモニの孫城代さん(40)は、「水泳に打ち込んできた亜蘭を見ている分、どうしても煮え切らない部分がある。次の国体でもしっかり応援したい」とほほ笑んだ。

 そして、インターハイに毎回足を運んでいるアボジの金永福さん(44)は、「自分は特別なことはなんもやっとらん。オモニは子どものことになると何から何まで本当に必死。そんなオモニの姿を見て亜蘭は結果を出したかったはず。みんなの前で涙を見せたのもそんな思いがあったから」と語った。

 金選手の家族と初めて出会った2年前のインターハイの時と変わらず、親子の固いきずな、二人三脚で水泳に打ち込む姿を垣間見た。(c) 

[朝鮮新報 2006.8.25]