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〈FIFA U−20女子選手権〉 「万里の長城を崩した衝撃の完勝」

初優勝の朝鮮代表「強力なプレスとスタミナ、スピード」

 U−20(20歳以下)女子サッカー世界選手権大会の決勝戦が3日、ロシアのモスクワで行われ、朝鮮が中国を5−0の大差で破り初優勝した。世界に女子サッカーのレベルの高さを証明した朝鮮。ユース世代の成長ぶりに、今後の世界選手権や五輪での活躍を期待させるものとなった。今大会をふり返ってみた。

波乱の幕開け

優勝カップを手に喜ぶ朝鮮選手とスタッフたち [写真=聯合ニュース]

 8月17日、大会が開幕。

 朝鮮は4月のAFCU−19女子選手権の決勝戦で中国に0−1で敗れ、準優勝で世界選手権に臨んだ。

 朝鮮は「死のグループ」と呼ばれるC組に入った。ドイツ、スイス、メキシコ。どれも強豪国で予選突破はそう簡単にできないとの見方が大半を占めた。

 ドイツとの初戦(18日)。女子A代表は世界ランキング1位でユース世代もトップレベルの選手が多い。

 しかし朝鮮は強豪相手に臆することなく果敢に攻め立てた。南朝鮮の各紙は強力なプレスと強じんなスタミナで相手を圧倒したと伝えている。ドイツを2−0で降す波乱を巻き起こした朝鮮の勢いは止まらず、スイスを4−0、メキシコを4−0で倒し、破竹の勢いで予選を1位で突破した。

 続く準々決勝ではフランスを2−1、準決勝のブラジル戦では、後半終了直前に得たコーナーキックから決め1−0の劇的な勝利で決勝戦に進んだ。

 そして決勝戦の相手はアジア選手権で敗れた中国。

国旗を振りながら声援を送る大応援団 [写真=聯合ニュース]

 朝鮮は雪辱を晴らし、世界の頂点に立とうと果敢に攻め立てた。MFキム・ソンフィ選手がハットトリックを決める活躍で、終わってみれば5−0(前半3−0)の圧勝。中国選手の動きを見ても後半での巻き返しは難しく見え、すでに勝負は前半で決まっていた。

 キム選手は大会5得点、1アシストの活躍で大会2番手となる「シルバーシュー」を受賞。朝鮮チームはフェアプレー賞も獲得した。そして、FIFAのテクニカルスタディーグループは、朝鮮チームからFWキル・ソンフィ(20)、MFキム・キョンファ(20)、キム・チュンフィ(17)、DFホン・ミョングム(20、主将)、リ・ジンオク、リ・ウンヒャン(18)ら6選手を今大会のオールスター(21人)に選出した。

 チェ・クァンソク監督は試合終了後、「選手たちの血のにじむような練習で流した汗が今日の結果につながった。チームには才能豊かな選手が多い。これからもっと多くの選手を発掘して実力をあげていきたい」と語っていた。

育つ予備軍

 朝鮮女子サッカーのFIFAランキングは現在7位。アジア頂点の実力は名実ともに申し分なく、世界に十分に証明してきた。それがユース世代にそのまま「イコール」になるのかどうかといえば、それはまた別の話だ。

 しかし今回、20歳以下の女子選手たちはA代表選手をもはるかに凌ぐパフォーマンスで世界を驚かせた。大会初出場で初優勝。FIFAが主催する国際大会で朝鮮が優勝するのは初。今後のオリンピックやW杯への予備軍が着実に育っていることを見せつけた。

 「単純な突風ではなかった。万里の長城を崩した衝撃の完勝だった」−同大会決勝戦を生中継したロシアのTV中継陣は、朝鮮が中国に5−0で勝利したあと、このように語ったという。

 朝鮮女子サッカーの近況を少しふり返ってみよう。

 4月18日、マレーシアで開催されたAFC(アジアサッカー連盟)U−19女子選手権大会の決勝戦で中国に0−1で敗れた。

 7月28日、オーストラリアで開催されたAFC女子選手権の準決勝でまたもや中国に0−1で敗れる。朝鮮選手たちは主審の判定に納得できないと猛抗議し、主力3人が出場停止処分を受ける事態となった。

 このアジア選手権には、今世界選手権に出場したキル・ソンフィ、キム・キョンファら4選手がA代表として出場している。そして3日、中国との世界選手権決勝で雪辱を晴らし、オーストラリアでの悪夢を振り払ったようだ。

 1999年の米国女子W杯(10位)から世界にその姿を見せ始めた朝鮮女子サッカー。闘志とスピード、技術を前面に押し出して、世界化を目指した女子チームは、7年目にしてユース世代で世界を制覇した。

 今回の優勝により、世界女子サッカーのけん引役として一目置かれること、そして世界各国のライバルたちが「打倒朝鮮」で来ることは必至だ。世界女子サッカーの技術レベルは年々加速化をたどる。慢心せずにそれにともなったいっそうのレベル向上が必要だろう。

 07年、女子W杯中国大会出場を決めている朝鮮女子A代表。次に世界の舞台に姿を現すのは10月の南朝鮮での「ピースカップ」と12月にカタール・ドーハで行われるアジアカップだ。(金明c記者)

[朝鮮新報 2006.9.7]