朝鮮学校生 国体初参加 「代表として堂々と戦う」 |
市民らと交流、地域の活性化を 第61回国民体育大会「のじぎく兵庫国体」が9月30日〜10月10日、兵庫県の各地で行われる。これまで朝鮮学校生には参加資格がなかったが、昨年3月、日本体育協会の国体委員会が出入国管理及び難民認定法で定める「永住者」の大会参加を認め、今大会から参加できるようになった。高体連主催の全国大会参加に続き、また一つ活躍の場が広がったことは朝鮮学校生にとってはよろこばしいこと。各種目の出場選手と見所を紹介する。 注目はボクシング
国体のこれまでの参加資格は、原則として日本国籍所有が条件で、「永住者」の場合は学校教育法第1条が定める学校の在籍者、卒業者などに限られていた。しかし今回、昨年3月の決定を受け朝高生らが出場することになった。過去、朝鮮学校を卒業し日本の大学に進学した学生が国体に出場した経緯はある。しかし、今回は「朝鮮学校」の看板を背負って同大会に出ることの意義を、出場する選手たちは強調している。 今回、ボクシング、ウエイトリフティング、水泳(競泳)、バレーボールの4種目に朝鮮学校の生徒たちが出場。やはり一番の注目は、全国高校選抜大会やインターハイ入賞者を多く輩出しているボクシングだろう。 全国選抜で金、インターハイ3位の大阪朝高の金在鴻選手(3年、ライトウェルター級)、洪隆輝選手(3年、バンタム級)が大阪府代表として出場。神戸朝高の周光植選手(3年、ライトウェルター級)も地元兵庫での入賞を誓う。朝鮮学校の国体出場元年に「国体チャンピオン」となれるか期待がかかる。 一方、大阪朝高ボクシング部の梁学哲監督が、大阪府代表チームの監督として、神戸朝高ボクシング部の金潤徳監督も兵庫県代表チームの監督として大会に参加する。 ウエイトリフティングでは北海道朝高の李在Q選手(3年)が105キロ級に出場。全国選抜4位、インターハイ6位入賞の実績から、国体での入賞も夢ではない。 競泳競技の少年男子100メートル自由形、800メートルリレーに出場するのは、インターハイ3年連続出場を果たしている九州朝高の金亜蘭選手(3年)。競泳少年女子の100メートル平泳ぎ、400メートルメドレーリレーなどに出場するのは、京都中高中級部の蔡知怜選手(3年)。今年の全国中学校水泳大会に出場した実力者だ。 そして、神戸朝高女子バレーボール部の趙慶和選手(3年)が、兵庫県の少年女子チーム代表として参加することが決まっている。現在、定位置争いのため猛練習に励んでいる。 大阪朝高の金在鴻選手は、「インターハイ3位の雪辱を晴らすとともに、府の代表、朝鮮学校の代表として大会に臨みたい」と意気込む。 京都の同胞 ゴルフ競技出場へ 神戸朝高舞踊部 開会式出演
一方、今回の国体出場の決まりを受け、一般同胞の参加も可能となった。 京都府在住の同胞が府の国体予選を勝ち抜いてゴルフ競技へ出場(代表3人)を決めた。京都・伏見商工会理事長の姜優さん(48)がその人(大会登録名は「神農優」)。姜さんは、「2年前の登録時の『通名』のままだが、いずれ本名で登録するつもりだ。本名で出場することにより同胞に力を与えたい。府代表としていい成績を残したい」と語る。また、関西大学ボクシング部の金龍哲選手(1年、広島朝高卒)もライトフライ級に出場する。 そして開会式オープニングで「チャンゴの舞」を披露するのが神戸朝高・舞踊部。主催者側からの要請により出演が決まり、大会成功に花を添える。 今回の朝鮮学校生徒たちの国体参加に在日本朝鮮人体育連合会は、「国体は日本国民のためのスポーツ大会と認識している」と考える一方、「今後、大会を通じて朝鮮学校生徒たちと日本の選手や市民たちとの交流、日本社会や地域が活性化されることに大きな意義がある」と話している。 競技に出場する選手たちは各都道府県の代表として、各地にある朝鮮学校の代表として「堂々と戦いたい」と心に誓う。国体「元年」の今年、選手たちの活躍に注目しよう。(金明c記者) △競技日程 開会式 9月30日、ユニバー記念競技場 ボクシング 10月1〜5日、西宮市立中央体育館 バレーボール(少年女子) 10月1〜4日、たつの市立龍野体育館 水泳、競泳 10月1〜4日、尼崎市スポーツの森 ウエイトリフティング(少年男子) 10月6〜9日、明石城西高校体育館 ゴルフ(成年男子) 10月5〜7日、宝塚ゴルフクラブ [朝鮮新報 2006.9.16] |