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兵庫国体が育んだ朝・日友情の輪 「広い視野で、交流のあり方を」

「とてもよかったよ」 神戸朝高に1本の電話

 第61回国民体育大会・のじぎく兵庫国体(9月30日〜10月10日)に初参加した朝鮮学校生徒たち。6競技に9選手が出場。なかでも盛り上がりを見せていたのが地元の兵庫県チームの一員として参加した神戸朝鮮高級学校だ。同校ボクシング部の選手や監督、女子バレーボール部の選手が参加し大きく貢献。舞踊部も開会式の舞台に立ち話題を振りまいた。国体に向けた準備過程で朝・日間に横たわるさまざまな問題を乗り越え、スポーツを通じて打ち解けていく姿を追った。

「国境なんてない」

開会式で朝鮮舞踊を披露した神戸朝高舞踊部

 「ウリハッキョに対して理解を深めてくれたこと。これが一番大きな成果」−神戸朝高ボクシング部の金潤徳監督(27)は、国体参加の意義をこうふり返った。金監督は西宮香風高校ボクシング部の友野聡一監督(46)と共に、少年男子兵庫県ボクシング監督としてチームを引っ張った。

 「うちのチームに国境なんてない。日本の選手と交わる中で在日への理解はうんと深まった」(金監督)

 「神戸朝鮮とは普段から交流を持っていたし、熱心な監督、能力のある選手がいるのに、なんで国体はダメなのかと思っていた」と友野監督は語る。

 兵庫県での国体開催が決まり強化事業がすぐに始まった。国体の指定選手や指導者を決め、県内外で合宿や遠征など行うのだが、当時は朝鮮学校の国体参加がまだ決まっていなかった。

兵庫県少年男子ボクシング監督を務めた友野さん(左)と金潤徳さん

 それでも友野監督は、金監督と周光植選手を指定指導者、指定選手として県の担当者と掛け合いメンバーに推薦した。「金先生が思っているボクシングに共感を持てたし、スッと入っていける部分があった。広い視野を持って交流の形がこうあるべきなんだと伝えていきたい」(友野監督)。2人には通じ合うものがあった。

 選手にもそれはしっかり伝わっていた。兵庫県少年男子ボクシングチームからは6選手が出場。神戸朝高の周光植選手(3年)はウェルター級で3位入賞を果たしチームに貢献した。「日本の高校生と交わる機会がなかったからとても新鮮だった」。指定選手らは毎週集まって練習した。遠征や合宿もこなし、互いの家で寝泊りする仲までになった。親同士の親交も深まった。

 朝鮮学校と日本学校のことについて選手同士が話す機会が増えた。「ボクシングの合宿で北朝鮮いくねんて?! 怖くない?」「いや、別に普通やで」−こんな会話も自然だった。「朝鮮学校のこと、在日のこと…いろいろなことを話したし、日本学校のことについてもいろいろ聞いた」と笑顔で語った。

 周選手の成長ぶりを側で見守っていたアボジの周沿革さん(58)は、「子どもも親も互いに協力しあおうと話し合った。わだかまりなく同じ高校生として切磋琢磨し、互いを理解していく姿がいい。ウリハッキョだけの代表じゃなく、県の代表だという意識もそこから芽生えていった」と語る。

 「チームワークはどこにも負けない」と口をそろえる友野、金両監督。その言葉通り兵庫県はボクシング競技で総合成績1位を獲得した。

県の代表実感

兵庫県少年女子バレーボールチーム。後列左から2番目が趙選手

 兵庫県女子バレーボールチームメンバーとして大会に参加した神戸朝高バレーボール部の趙慶和選手(3年)。試合には出場できなかったが、「最高の雰囲気で本番を迎えられた」とふり返る。「最初はみんなと溶け込めなかったけど徐々に話せるようになったし、県の代表なんだと実感できた」。

 兵庫県監督の安谷佳高監督(47、須磨東高校)は、「日朝の間には難しい問題はあるが、スポーツはそういうものを超えていける」ときっぱりいう。「もっとリベラルにものを考えないといけない。慶和も能力の高い選手で12番目には入れる力を持っている。勝負の世界だから今回は仕方なかったが、チームにしっかり溶け込んでがんばっていた。朝鮮高校の国体参加は大いに意義のあること」。

 同校舞踊部は開会式で「チャンゴの舞」を披露した。朝鮮学校が国体の公式行事に参加するのは初めてだ。踊りきった生徒たちの表情は晴れ晴れとしていた。

 兵庫県には10万人以上の外国人が暮らす。今回の国体開催でも基本構想の中で外国人の存在を訴え、誘致段階から永住外国人の参加資格見直しを訴えてきたという。そんな動きの中で舞踊部に出演依頼の声がかかった。

 舞踊部を指導する池順姫教員はいう。「日本の生徒たちと共にできる場があることがとてもうれしかった。堂々と踊る生徒たちの姿を見て目頭が熱くなった」。

 主将の林琴実さん(3年)は、「自分たちの踊りを通じて兵庫に朝鮮学校があるということ知ってほしかった。大きな拍手が沸いた時はとても感動した」とふり返る。

 神戸朝高に1本の電話が入った。「とてもよかったよ」−舞踊部の踊りを見て賛辞を送った日本人の声だった。(金明c記者)

[朝鮮新報 2006.10.13]