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〈在日バスケ協会のページ〉 「西東京第2バスケ部」 がんばれ、チビッコバスケマン

 第4回ヘバラギCUPで初出場ながら、見事男子2部優勝を成し遂げた西東京朝鮮第2初中級学校・初級部男子バスケ部を紹介する。今年度からの活動開始で部員7人ではあるが、礼儀正しさ、豊富な運動量、元気いっぱいのプレーは冬の第10回選手権、今後の活躍の期待を予感させる。

監督の声

監督の話を聞く生徒たち

 「サッカー部からバスケ部へ移行…」

 ゼロからのスタート、何をどうすればいいのだろう? 今年中に絶対に勝たせるという約束を生徒たちにしたにもかかわらず、不安やプレッシャーがやまなかった。初心にかえろう。礼儀、そして気迫、気持ち。生徒たちに言い聞かせた。体育館へのあいさつ、ダッシュする時、パスをもらう時も声。声を出せるチームは強い、一生懸命声を出そう。その姿を見た時確信した。

 シュート、パス、ドリブルなどの基礎よりまず走らせた。生徒たちは弱音を吐くどころか異口同声に「練習が楽しい!」といい、日に日に成長していた。6月中旬に初の練習試合を組んだ。練習成果ははっきりと表れ、ほかのチームを圧倒した。しかし、シュートが決まらない。練習不足。生徒たちは自主的に早朝練習を始め、授業の休み時間ごとに体育館に足を運びシュート練習をした。放課後の練習まで全員200本シュートをした。新ユニホーム、Tシャツもそろえ、迎えた大会当日。

 顔からは緊張の色が隠せない。初公式戦、そのうえ一回戦の相手は優勝候補。力のかぎり走った。健闘したが敗戦。最後まで大きな声であいさつした。観客みんなが拍手を送ってくれるようだった。

 「悔しい」「またやりたい」と生徒たちのアドレナリンは出つづけた。次の試合からはその気持ちが発揮され、最終日、栄光のオールコート2部決勝までこぎつけた。技術の差は否めない。しかし気持ちの強さと体力で勝り、2部優勝を勝ち取った。生徒たちはもちろん父母たちも大喜びした。5月からバスケットを始めて3カ月。初参加で2部優勝は誰も考えていなかった。公式戦初勝利、それはチーム関係者全員の喜びだった。この短い期間で「自信」の意味を知る契機を与えられたと思う。しかし、そう簡単に勝てないことは誰よりも自分自身が知っている。上位チームとの技術の差は認める。冬の大会に向け練習あるのみだ。(金将志監督、24)

選手の声

 5月からの練習で、学んだことは「声を出すこと」の大切さ。自分一人が主将として声を出すのではなく、チーム一丸となって出す声が大切だと思った。先生は「大きくあいさつできるチーム、どんな時でも声を出せるチームは強い」とつねに言う。これかもっと大きく声も出し、バスケットを楽しんでいきたい(康杜赫、6年、主将)。

 5月からバスケットを始めてヘバラギカップで勝てたことはすごくうれしい。バスケットを通じて、気持ち、気迫がとても大切だということを学んだ。冬の大会ではどのチームにも負けない気持ちと気迫で必ず優勝する(辛龍成、6年)。

 部活がサッカーからバスケットに変わったので正直、不安もあったけど、一生懸命練習し、試合で勝つことができた。これからも成果を出したい(李樹勇、5年)。

 バスケットを始めた時はきついから嫌だったけど、一生懸命練習して行くうちに自分のためになることに気づいた。今はバスケットが大好きだ(権景雲、4年)。

学父母の声

 進学年度が始まり「今年のクラブ活動は?」と思っていたところ、学校から今年はサッカー部をバスケット部に変えて活動させてほしいとの要請があった。ウリハッキョにサッカー部がなくなるのは寂しいと言う意見もあったが、「絶対に結果を出します」との金将志先生の熱弁に学父母も了承した。

 先生の熱烈な指導のもと、土日を含め、きつい練習が毎日のように繰り返された。目の下には常時くまができ数週間も筋肉痛に苦しんでいるのに、「練習が楽しい」と子どもたちは目を輝かせながら言う。

 8月のヘバラギカップ。本来ならば今年は兵庫でサッカー大会参加なのだが、バスケの試合会場である東京朝高に初めて足を運んだ。

 試合結果よりも成長した生徒たちの姿に感動した。西東京第2の生徒たちは、礼儀正しさ、最後まであきらめず粘り強く戦う姿勢では、参加したどのチームにも負けていなかった。公式戦初勝利で2部優勝。試合を終えた子供たちは、自分たちもやればできると言う達成感と自信に満ち溢れていた。子どもたちから沢山のパワーをもらった。8月末には他のウリハッキョとの合同合宿、9月には6年生2人がコリア選抜として日本の大会にも参加することができ、今までにない、いい経験ができた夏であった。

 5月からの短期間ではあったが、ウリハッキョの生徒たちにとって、「クラブ活動」というものが人間を成長させていく上でどれだけ重要であるかを実感した。

 こんなすばらしい経験をプレゼントしてくれた西東京第2初級生徒たちと行動を共にした先生に感謝したい。全国には生徒数が少ないということで同様の悩みを持つ学校、先生たちが数多くいると思うが、先生の情熱とそれに応える生徒たちがいれば、すばらしい経験も得られるということを参考にしてほしい。(康文善、康杜赫主将のアボジ)

編集後記

 中央体育大会、ヘバラギカップなど熱い夏が終わった。自身、審判員として駒沢にも3日間出向いた。関東地方学校が好成績を収めたが、試合内容では差はなかったと感じる。生徒たちの礼儀もよかった。

 なかには、ミニバス時代に見覚えのある生徒たちも多数プレーしていた。さて、今夏に「在日朝鮮学生初級部バスケットボール連盟」(コリア・ミニバスケットボール連盟)が発足し、在日バスケ界は初、中、高、大、一般(家庭婦人含む)の体系が整った。問題はここから何を目指すのかである。大会終了数日後、朝日新聞に東京朝高バスケ部生徒の記事が掲載された。在日として認められることはとても喜ばしいことである。

 今後1部、2部大学リーグやジャパンバスケットボールリーグ(JBL)、日本プロバスケットボールリーグ(BJリーグ)で活躍できるプレーヤー、朝鮮代表として活躍できるプレーヤーを計画性を持って体系的に育成していきたい。プラン、戦略、戦術をしっかりと立てアジア大会、オリンピックに召集される選手を育成していこう。(編集部)

[朝鮮新報 2006.10.18]