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〈第85回全国高校サッカー選手権大会〉 大阪朝高サッカー部 2年連続全国選手権へ

プレッシャー乗り越え 大阪桐蔭を2−1で下す 目標は4強の「国立」

 第85回全国高校サッカー選手権大会・大阪大会の決勝戦が11日、万博記念競技場で行われ、大阪朝高が大阪桐蔭を2−1で下し2年連続3度目の全国大会出場を決めた。昨年に続き(全国選手権で国見を破って8強入り)223校の頂点に立った大阪朝高。朝高の代表として同胞はむろん、地元の期待も一心に背負って府代表校として全国大会に出場すると意気込む。全国大会でチームが見すえるのは昨年、目前にして果たせなかったベスト4の「国立」の舞台だ。(文=金明c記者、写真=慮琴順記者)

自分たちのサッカー

先制点を奪った瞬間、競技場には選手、同胞、生徒たちの歓声が鳴り響いた

 昨年に続く2年連続の決勝戦。雨が降り注ぐ中、大阪朝高イレブンの勇姿を一目みようと同胞、生徒たち約3000人が会場に駆けつけた。そして、みなが昨年の選手権8強入りの姿を頭の中で自然とだぶらせていた。無理もない。昨年の全国選手権で国見を破り、優勝した野洲に敗れはしたもののPK戦にまで持ち込んだ試合は、同胞社会全体を元気にさせ大きな感動を与えたからだ。

 いつにもまして高まる注目度と期待の中、プレッシャーを一番強く感じていたのは、ほかならぬ監督と選手たちだった。

 康敏植監督(36)は試合前の取材で「原点」という言葉をしきりに繰り返した。「原点に戻る」−これが今回のチームの一つのキーポイントだった。チームは昨年の全国選手権の活躍で一気に注目を浴びた。国見を倒した話題が先行し、マスコミも連日殺到した。

試合開始16分、FKからの朴帝宣選手のシュート。ボールは大阪桐蔭のゴールネットを揺らした

 一気に目の前がまぶしくなった。それから低迷が続いた。インターハイ予選、新人戦でもベスト8止まり。在日朝鮮学生中央体育大会のサッカー競技でも愛知朝高に敗れた。大会3週間前には滋賀の草津東に0−5で敗北。こうした敗戦を教訓にして、原点に戻ってチームを立て直すことを優先してきた。

 「兵庫の滝川第2との試合も1−2で敗れたが、泥臭さはしっかり発揮されていた。今まできれいなサッカーをしすぎていた。フィジカル強化、精神面、泥臭さをもっと出していこうと。自分たちのサッカーがなんなのかを何度も問いただした」

 選手権出場に照準を合わせ、そして決勝の地にたどりついた。

果敢なプレス

「2年連続全国大会出場」の伝統を作った喜びにあふれる選手たち

 決勝戦。序盤からチーム全体が前線からプレスをかけてボールを果敢に奪う姿が目についた。走っても体力が落ちないスタミナもあった。その効果的なプレスによって前半早々からボールを支配する。そして前半16分、右サイドで得た直接フリーキック(FK)を朴帝宣選手(3年)が左足で振りぬいた。

 「相手に当たっても入るようなボールを蹴った」。ボールは弧を描いてキーパーの頭上を越え、左隅に突き刺さった。「あれはプロのキーパーでも取れない」と周囲の声。それぐらい鮮やかな先制点だった。その後も決定機を演出する大阪朝高。

 前半32分、センターサークルの左手前で得たFKをまたも朴帝宣選手が得意の左足でゴール前へ蹴り上げた。絶妙のクロスがゴール前に上がると右サイドから走りこんできた趙尚熙選手(3年)が合わせて決めた。前半のスコアを2−0とし後半へ。

 後半は互いに決定機を決められないまま時間が過ぎていった。そしてロスタイム、大阪桐蔭に右コーナーキックからヘディングで決められたが、そのまま試合終了のホイッスルが競技場に響き渡った。喜びを爆発させる選手たちは、同胞応援団のいる方へ一気に走り出しみんなで喜びを分かち合った。

 康監督の目には涙が浮かんでいた。1年間、結果を出さなくてはいけないプレッシャーの中で戦い、一つ肩の荷がおりた瞬間だったのかもしれない。

 「2年連続でこの舞台に立たせてくれた選手たちを本当にほめてやりたい。大阪の代表として恥じない試合をしたい。去年のベスト8を越えて『国立』を目指したい」

 チームを率いてきた金俊和主将は、「みんなで勝ち取った勝利。去年の実績から正直プレッシャーもあった。でも自分たちがやってきたサッカーをすれば勝てる自信があった。全国大会では一つひとつ勝っていくことを心がけたい。そこから『国立』が見えてくる」と気を引き締めた。

[朝鮮新報 2006.11.15]