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30年ぶり アジアユース選手権制した朝鮮代表 「サッカー強国復活への出発点」

チョ・ドンソプ監督、MVPのキム・クムイル主将に聞く

 【平壌発=李松鶴記者】10月29日〜11月12日までインドで行われたアジアユース(19歳以下)サッカー選手権大会で、朝鮮が30年ぶり二度目の優勝を飾った。今大会で朝鮮はフェアプレー賞を授与されたほか、全試合を通じて4ゴールをあげたキム・クムイル主将がMVP(最優秀賞)を獲得した。来年、カナダで行われる世界選手権に向けて、選手たちは調整と練習に余念がない。チョ・ドンソプ監督(47)とキム・クムイル主将に今大会を振り返ってもらった。

戦術うまく機能

 「全員防御、全員攻撃を基本パターンとするチームの戦術が、全試合を通じてうまく機能したことに勝利の要因がある。何よりも大会期間を通じて選手たちが一致団結してプレーしたことが大きかった」

チョ・ドンソプ監督

 チョ監督は、「30年ぶりの快挙を成し遂げた監督」らしからぬ淡々とした口調で語った。

 昨年11月に行われたアジア選手権出場をかけた対日本戦で、朝鮮は終始攻撃の手を緩めなかったが、結果に結びつくことなく惜敗した。その後、幸運にもアジア選手権への出場権を獲得したチョ・ドンソプ監督は、その時の教訓を生かして試合全般を通じてチームの戦術が貫けるよう選手個人の能力とチームプレーのレベルアップに努めた。

 「幸か不幸か予選リーグの第1試合で日本と再戦することになった。私はもちろん、選手たちもこれ以上日本には負けられないという思いが強かった。今になって振り返ると、それが逆にチーム全体にプレッシャーとしてのしかかった」

 長時間の移動による疲労とプレッシャーにより、朝鮮はまたしても日本の前に苦杯をなめた。「試合後の選手たちの状態はそれこそ最悪だった。『まだ終わったわけではない。残りの2試合で勝てば決勝トーナメントに進むことができる。あきらめるのはまだ早い』と選手たちを奮い立たせた」

 予選リーグ第2試合は強豪イラン。チョ監督は、攻撃する際にチーム全体が押し上げてくるイランの裏をかき、相手チームのキーパーとディフェンダーの間の広い空間をうまく活用することで、5−0という大差で勝利を収めた。

 「イラン戦でチームの雰囲気がはっきり変わった。選手たちは自分たちの技術と戦術が十分に通じるという自信を持って、その後の試合ではのびのびとプレーしていた」

 予選リーグ最終戦のタジキスタン戦は、プレッシャーからかやや苦戦したものの、決勝トーナメントでも朝鮮の快進撃は続く。

 準々決勝(対イラク)、準決勝(対ヨルダン)では、ディフェンスを重視しチャンスをうかがってカウンターアタックを加える戦術が功を奏し、難なく決勝に勝ち進んだ。

 「南朝鮮と日本の準決勝のビデオを選手たちと見ながら、PKになった場合は、蹴る方向をしっかり決めることと思いっきり蹴ることだけを考えるよう強調した」

 選手たちは決勝で監督の指示を忠実に実行した。チョ監督は、「開始早々、リ・チョルミョン選手のミドルシュートが決まったことで、選手たちが勢いに乗った。あのシュートは値千金のものだった」と笑みを浮かべた。

絶対に負けられない

キム・クムイル主将

 大会を通じて4得点を挙げたキム・クムイル主将は、フィールドでの闘志あふれるプレーとは裏腹に、普段は口数少ない素朴な青年だ。

 「選手全員が優勝するという一つの目標のもと、一致団結してプレーしたおかげで優勝することができた。最優秀選手に選ばれたのも、ほかの選手がフォローしてくれたからで、決して自分ひとりの力で得られたものではないと思う」

 4ゴールのうち、もっとも印象に残っているのはヨルダンとの準決勝のものだという。「ドリブルでディフェンダーを数人抜くことができたので、これで決められなかったら元も子もないとちょっとプレッシャーがあったが、うまく決めることができて内心はほっとした」

 試合ではやはり日本との決勝戦が印象深いという。

 「今大会の出場をかけた予選と今大会予選リーグで二度も日本に負けていたので、これ以上負けるわけにはいかないという思いがあった。予選リーグの時にその思いが逆に空回りしていた。今度はそうはしないという思いでみんなが試合に臨んだ。勝った瞬間は頭の中が真っ白になった。次の瞬間、みんなと抱き合って喜びを分かち合っている自分に気づいた」

 キム主将は、「今回の優勝で満足するのではなく、来年の世界選手権に向けてさらに努力を積み重ねていきたい」と抱負を語った。

 チョ監督は「30年ぶりのアジア制覇を、サッカー強国復活への出発点として位置づけ、その責任を果たすために選手ともどもがんばりたい。当面は世界でも通用するよう、個人レベルでのフィジカルとテクニック面での向上、チームレベルでの戦術に磨きをかけていきたい」と語った。

[朝鮮新報 2006.11.29]