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メディア・コントロール−平和主義から好戦国へ

 かつて、NHK特集といえば、さすが見応えのある重厚なものもあった。しかし、先ごろ3夜連続で放映された朝鮮特集は、あまりにも、冷戦志向が強く、腐敗の匂いがプンプンする。

 第1にまず、最初から「反朝鮮」作りの姿勢があからさまである。黄長Yなどの裏切者、背信者、脱北者などの一方的な言い分ばかり。「反朝鮮」でありさえすれば、何をしようとかまわないのか。

 第2にこの番組は、いったい何を言いたかったのか。「独裁政権」「拉致」「核問題」などと朝鮮を一方的に非難して、北への敵視をあおり、日朝正常化交渉や米朝対話を阻止しようとする情報工作であろうか。

 現代政治におけるメディアの役割に目を向ければ、その答えは明確。米国の強圧的な外交政策や戦争態勢に歩調を合わせ、日本当局は国策に沿う情報操作を強めている。
 ノーム・チョムスキーはその著書「メディア・コントロール」(集英社新書)で、第1次世界大戦後の1916年、米国のウィルソン政権下で行われたメディア工作の例をあげる。当時の米国は平和主義一色。その平和主義の世論をヒステリックな戦争賛成論に転換させるため、政府主導の宣伝委員会が作られ、人々の戦争熱をたきつけていった。戦後、「赤狩り」をあおるにも同じ手法が使われ、組合をつぶし、報道の自由や政治思想の自由という「危険な思想」を排除していったのだと。

 NHKの番組も、チョムスキー流に解釈すれば、その制作意図はあまりにも明白だろう。「平和主義の国を好戦的なヒステリー集団に変える」ためか。

 事実をろくに知ろうともせず、舞文曲筆が跋扈する社会の風潮。すでに日本メディアは、「大本営発表」を率先して撒き散らす時代に突入した。(粉)

[朝鮮新報 2006.4.17]