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ゴーン夫妻のルーツ−レバノン人としての誇り

 「文藝春秋」9月号でカルロス・ゴーン・ルノー・日産自動車会長兼CEO(最高経営責任者)夫人のリタさんが、外国暮らしについて語っている。

 ゴーン夫妻はレバノン人で、二人は結婚以来の20年間、ブラジル、フランス、日本に暮らし、4人の子どもを育て、現在はフランスに戻った。リタさんは母国語のアラビア語、英語、仏語、ポルトガル語を話す。

 レバノンは少し前も、イスラエルの空爆で多くの市民が犠牲になったが、リタさんにも内戦の体験がある。「レバノンという国は、イスラム教徒とキリスト教徒の対立が長年続いていて、私が9歳の時から15年間内戦下にありました。私はキリスト教徒ですが、絶え間ない空爆の中で多くの知り合いが死にました」。

 レバノンでは宗教対立の中で生活に困窮した人々が、19世紀末から南米やアフリカ、中東、北米、ヨーロッパなどへ移住。リタさんはレバノンで生まれ育ち、フランスの大学に進み、夫のゴーンさんは祖父がブラジル移民だったのでリオやブラジル奥地の山間地で育ち、学校教育はレバノンで受け、大学からフランスに移ったという。

 ゴーン家では、移り住んだ地域の文化を取り入れながら、自分のルーツを守っていく考え方。どの国に暮らしてもレバノン人としてのアイデンティティを大切にしてきた。  

 「レバノン移民は本国にいる親せきに定期的に送金し、毎年のように里帰りする人たちだから、どこの国にいても自分たちはレバノン人だという意識が強いんです。…わが家でも折に触れて子どもたちをレバノンに連れていきました。…子どもたちには母国がどんなところか知り、その上でやっぱり愛してほしいんです」と。子育ての基本は何かということが胸にストーンと落ちる言葉だった。(粉)

[朝鮮新報 2006.9.8]