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「祖母との思い出」

 祖母が亡くなって1年目の夏が来る。去年7月、祖母はめまいを起こし、自宅の外階段から転落し亡くなった。87歳だった。

 「ほんとうに眠ってる様な顔だ」とよく言うが、遺体安置室で見た祖母の顔は、ほんとうに今にも目を覚ますんじゃないかと思うぐらい、きれいで安らかだった。

 祖母の家はビルの3階にあって、1階からのびる階段を勢いよく駆け上がって、祖母に会いにいったことを思い出す。

 「アンニョンハセヨ!」と玄関のドアを開けると「誰が来たんだ?」と、ニコニコした祖父と祖母が出迎えてくれた。帰るときはいつまでも階段の上から手を振ってくれた祖母。皮肉にもその階段から転落したのだ。

 辛くて悲しくてやりきれない。今度釣りに行ったら、チャリ(スズメダイ)を釣って、郷土料理のチャリフェを祖母にご馳走しようと思ってたのに、それも果たせないまま逝ってしまった…。

 祖母は若い頃、学校にしっかり通えず、字の読み書きが出来ないことを恥じ、75歳を前にして夜間中学に通った。小学1年生の教科書を手に、ひらがなのドリルを一生懸命解いていた姿が今も目に浮かぶ。

 わたしたちに「この字はなんて読むのかな?」とよく聞きながら、教わったひらがなや漢字をせっせとノートに写していた祖母。

 卒業式では答辞を読み、偶然にも学校で撮影していた山田洋次監督の「学校」に、セリフはないものの、俳優さんに混ざって授業を受ける生徒役を果たした。

 祖母との思いでは数え切れない。息子のアルバムを開くと、ひ孫を抱っこしてうれしそうにしている祖母がいる。いつも、いつまでも、祖母は家族の胸の中で生き続けるだろう…。(李福順、主婦)

[朝鮮新報 2006.5.22]