top_rogo.gif (16396 bytes)

「隠語」

 ハングル講座の休憩中。一人の受講生が恥ずかしそうに私にメモを渡す。メモには漢字一文字が記されていた。「便」。これをどう読めばいいのですか? という質問らしい。

 「○○さん、これは読み方が二通りあって、日本語で言えばそのまま〈ピョン〉ですが、例えばお手洗いの〈ピョン〉は平音(スナンソリ)だし、手紙や便利の〈ピョン〉は激音(コセンソリ)ですよ」

 受講生は「コマプスムニダ」と言って自分の席に戻ってまた何やらメモに書いている様子。そしてすぐに「ソンセンニム、これはどう読むのですか?」と言う。そのメモには「秘密」と書いてあった。「ピミルと読みます」。

 周りの受講生はくすくすと笑っているけれど、私には何で笑っているのかさっぱりわからない。彼女はまたメモを持って席に戻りみんなに「私これなの」と言ってみんな大笑いしていた。「朝鮮語だったら周りにばれないよね」「一つ単語覚えたわ」と喜んでいる。もちろん先ほど教えた漢字の読みなのだろうが…。

 はて? すぐに受講生が私に「ナヌン チクム ピョンビイムニダ(私は今便秘です)」と言う。なるほど、そういうことだったのね。確かに正しいが、ウリマルを周りに悟られない手段としての隠語のように使うなんてそれはちょっと困るんだけど、と思った私。

 でもよくよく考えてみたら私もたまに隠語のように使ってしまっている。反省しきり。

 「隠語」なんて悠久な歴史と美しいウリマルを育んだ祖先に失礼ではないか。(金秀和、ハングル講師)

[朝鮮新報 2006.12.9]