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朝鮮人強制連行真相調査団 全国協議会、全遺骨のDNA鑑定を

変わらぬ非人道的な日本政府の対応

 朝鮮人強制連行真相調査団2007年全国協議会「遺族の心痛を受けとめて」が1月27日、愛知県名古屋市の「ウィルあいち」で行われた。協議会では空野佳弘日本人側事務局長(弁護士)の司会で北海道、群馬県、神奈川県、山口県、留学同兵庫、愛知県(特別報告)の代表らがそれぞれの地域、単位における遺骨問題への取り組みについて報告。埼玉、富山、静岡、岐阜、三重、京都、奈良、大阪、兵庫などの各地代表らも発言し、議論が交わされた。また、2007年度活動案が提案され了承された。28日には東山霊安殿でフィールドワークが行われた。

真相究明、真摯な対応を

愛知県で行われた全国協議会(1月27日)

 協議会ではまず、高徳羽調査団朝鮮人側中央本部団長(総連中央副議長兼同胞生活局長)があいさつし、昨夏、日本の平和市民団体と宗教団体によって各地28カ所で催された全国集会「遺族と共に」は遺骨問題を解決していくうえで展望を開き、とくに若い世代が多く参加したことが特徴だったと指摘した。

 しかし、強制連行被害者遺族の心の痛みは、日本政府の「アリバイ的な調査」により今もなお拭われていないと強調。日本政府による遺族入国拒否、祐天寺の偽遺骨問題などは、この問題の解決に日本政府がいかに不誠実で非人道的な対応、態度を取り続けているかを如実に示していると述べ、過去清算実現に向け真実を明らかにして声を挙げ、各地での実績を基に大きな流れを作っていこうと呼びかけた。

 新たに調査団日本人側全国連絡協議会共同代表となった寺尾光身氏(名古屋工大名誉教授)があいさつ。名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟に言及して「日本の司法は信頼できない」と指摘し、「日本政府の姿勢が後ろ向きで大変残念。日本人として『恥ずかしい』の一言に尽きる」と吐露しながら、日本の「隠ぺい体質」を変えるために@政府に働きかけA世論を喚起し運動をまとめていくことが重要だと訴えた。

地元民と共同作業

 協議会では各地域、単位から以下のような報告が行われた。

 蔡鴻哲・「強制連行、強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」共同代表(総連北海道本部副委員長兼胆振日高支部委員長、昨夏、北海道宗谷郡猿払村浅茅野での強制連行犠牲者遺骨発掘共同ワークショップを主管) 遺骨発掘作業は、約8カ月交渉して地元民の了承をえ、各界各層、地元民344人が参加する大規模なものになった。発掘作業においては、主管団体の正義感だけを地元民に押し付けず、地元民の協力を得ながら運動の範疇を超えた共同作業として行っていくことがとりわけ重要である。

東山霊安殿で行われたフィールドワーク(1月28日)

 猪上輝雄・「記憶 反省 そして友好」の追悼碑(群馬県)を守る会事務局長 遺族を招待し、開催した昨年の集会などから貴重な教訓を得た。遺骨問題解決のため情報公開活動など引き続き運動を展開していく。

 金静媛・山口調査団朝鮮人側事務局長(総連山口県本部国際部長) 昨年、長生炭鉱水没事故犠牲者3人の名前が南朝鮮の日帝強占下強制動員被害真相究明委員会によって確認された。宇部朝鮮初中級学校教員(李志花さん)が水没事故を題材にした一人芝居を上演し問題をアピールしたこと、山口県弁護士会による朝鮮学校への処遇改善勧告までの各プロセスは民族教育権利の拡大、そして今日の運動に結びついている。一日も早い真相究明を望む世論の輪は、山口県においても着実に広がっていると実感した。今夏、長生炭鉱水没事故によりひどい凍傷を負い脳に障害が残った生存者へのインタビューを綴った証言集が日本の出版社から出版される予定だ。

 留学同兵庫県本部と神戸大学・関西学院大学支部グループ(金朋美、留学同兵庫県本部委員長が報告) 昨年、調査団から提供された「殉職産業人名簿」を整理、分析した(「朝鮮人強制連行に関する資料的研究−『殉職産業人名簿』整理事業をとおして−」)。データ解析により、朝鮮人労働者の死者数が日本人の2.82倍に上ることがわかった。現在取り組んでいる名簿整理も含め今後、重要資料として遺族探しの一助になるよう活動していきたい。

 金順愛・愛知調査団朝鮮人側事務局長(総連愛知県本部同胞生活部長) 名古屋市八事霊園の東山霊安殿に安置されている朝鮮人無縁遺骨の調査開始から1年半、ようやく「朝鮮半島出身者遺骨調査会」の実質発足にまでたどり着いた。遺骨が無断で粉砕処理されている。この現状を解決しなければならない。

 昨夏、東山霊安殿を訪れた南朝鮮の遺族が、犠牲者の調査、補償がうやむやになることを憂慮し遺骨を故郷に持ち帰らなかった。問題を起こした当局者(日本)が責任を果たさない限り、返還はできないし、してはいけない。

 調査団では、名古屋市が国とともに遺骨問題解決のために「すべきこと」(原則)を3つにまとめた。一つは、名古屋市が責任を持って遺族を探し、市の費用で追慕祭に招待をする、二つ目は結果的に本国に埋葬できるようにする、最後に在日朝鮮人の無縁遺骨の納骨堂を設立することだ。これらの実現のために総連、民団が中心となり日本の市民団体、個人と連携して活動を展開していく必要がある。

 遺骨問題の早急な解決のためにも、新しい世代につないでいかなければならない。日本政府に対するわれわれの働きかけはまだまだ足りない。

「在日歴史、人権週間」設置

 協議会では、朝鮮人強制連行真相調査団の2007年活動案が洪祥進事務局長により提起された。

 活動案は@日本政府に祐天寺の遺骨をはじめすべての遺骨のDNA鑑定を求めていく、A遺族の提案を基に法的問題を含めて支援する、B本年度から仮称「在日歴史、人権週間」を設け、足下の在日朝鮮人の歴史を知り、現在の人権問題を考える契機にする−からなり、満場一致で了承された。最後に、原田章弘日本人側共同代表(横須賀市議)が「運動は広がっている。地元民との共同作業によって遺骨を発掘しDNA鑑定をきちんと求めていこう」とまとめのあいさつを行った。(李東浩記者)

[朝鮮新報 2007.2.5]