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〈同胞法律・生活センターPART3 I〉 住まいサポート編−高齢者の住環境−

 Q 日本は世界的な長寿国となり、その分自宅で過ごす期間がとても長くなりました。その時々の身体的、精神的状況に合わせて、住み慣れた環境で、馴染みの親友、知人との交流を続けながら安心して暮らしつづけるためには、高齢になっても住みやすい家をどのように考えていくのが良いのでしょうか。

 A 高齢になると、身体的にも精神的にもいろいろな変化が現われます。

 身体的には、身体の機能が衰えだすことです。昨日まで感じなかったのに膝の関節に痛みが走る。アッ、これは老化現象か? と思わずわが身をかばいます。階段が恨めしい時があります。遠回りしてもエスカレーターやエレベーターを探して利用します。老化は少しずつ忍び寄るもので、気が付けば足腰が弱ってしまっていたということがあります。

 高齢者にとってとくに足腰が弱って歩けなくなるのが一番おそろしいことです。足腰が弱くなると平らな道を歩く平行移動能力はかなり長い間保持されますが、2階に上がるなどの垂直移動ができなくなっていきます。

 平屋か1階に生活の場を確保しておくと、かなり長い間、自分の足で自由に移動ができます。人間はやはり良く歩くことが大切なようです。

 私は今、やむをえない場合以外は、ベッドを入れたり、洋式のトイレを使ったりしないようアドバイスしています。和床で、毎日朝晩、布団を畳んで押入れに収納する、そしてまた出して敷くという動作や、和式のトイレでしゃがんだり立ち上がったりする動作をわずか数分ですが生活リハビリとして、 日常生活から減らさないようにすれば、足腰の鍛錬に一役買うのではないかと思っています。

 90歳を過ぎているあるハラボジですが、浴槽またぎする時もヒョイと足が上がって軽々とまたげます。当然自分の足でどこへでも出かけます。彼の住居を訪問して、健脚でいられる理由のひとつはこれだと思ったことがあります。

 急勾配の細い階段の3階に住宅があり、数十年そこで生活しているのです。長い間、足腰の筋肉をよく使っていたので、衰えを最小限に防げたのだと思いました。しかしながら、軽い脳梗塞を発症し、階段をアザラシのように這って上がっていく高齢者もいましたし、墜落や転落の危険が大きいので3階で生活するのは、お勧めできません。

 一方、所得格差があり、昔ながらの段差がある古いアパート住まいをしている人が少なくありません。

 状況に応じて、転倒、骨折などの介護事故を予防するため、バリアフリー住宅に改造したりする必要が出てきますが、あまり急いでする必要はないと思います。玄関の上がりがまちや、居室の少しの段差は、よほど足が上がらなくならないかぎり、意識して上手に移動できるようにすれば良いと思います。

 少しのバリアは上手に付き合いましょう。急勾配な外階段は、足を滑らして転落事故を起こしたりします。急病や地震、火事など不測の事態にも備え、平屋や1階への移室をしたら安心して過ごせると思います。

 介護が必要になってきましたら、介護する人が動きやすいよう、間仕切りを取り払ったりして、できるだけ広いスペースを確保するようにしましょう。ベッドやポータブルトイレなどの介護用品が入ると室内はかなり手狭になります。施設入所などせず、最後まで自宅で暮らせるよう、前もって生活の場の整備を進めるのはとても必要なことだと思われます。(林瑛純、ケアマネージャー、福祉住環境コーディネーター)

※同胞法律・生活センターでは「お部屋探し応援隊!」活動を行っています。進学、就職、転勤などによる引っ越しが多い季節となってきましたが、当センターにご連絡いただければ、不動産業者、大家さんの協力を得ながら、物件探しをお手伝いします。ご希望に添う物件を迅速に見つけるためにもぜひご利用ください。なお、同胞の住まい探しに協力してくださる家主の方、不動産業者の方も募集しています。ぜひ同胞法律・生活センターまでご連絡ください。TEL 03・5818・5424、FAX 03・5818・5429。

[朝鮮新報 2007.2.19]