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〈同胞法律・生活センターPART3 K〉 子の国籍

 桜の時期となり、センターには子の出生にまつわる相談が目立ちます。

 近年、国際結婚の件数が増加傾向にあることを反映して、出生に関連する相談の中身は子の国籍や姓(氏)についてがほとんどです。このような相談は、センターに寄せられるさまざまな相談の中でありがちなものとなっています。かつては、日本人と結婚した息子や孫夫婦を心配する1世や2世の親が目立ちましたが、ここ最近は同胞と結婚した日本人妻から「子の国籍」や「子に夫の朝鮮姓を名乗らせるには…?」などの相談も少なくありません。

 本紙面でも取りあげたことのあるテーマですが、国籍も姓も後になって容易に変更できるものではなく、私たち一人一人にとって非常に大事なものです。どのような選択をするにせよ、慎重に考えたいものです。

 Q 日本人女性と結婚します。夫婦の間に生まれてくる子の国籍や姓について教えてください。

 A 在日同胞と日本人の婚姻により生まれた子の国籍は、朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)、「韓国」、日本の3つの国籍法によって決定されます。この3つのいずれの国も父母両系血統主義を採っているので、生まれてくる子は「朝鮮」あるいは「韓国」、そして日本の国籍を重ねて持つことになります。しかしながら、日本政府は共和国の国籍法を認めず、在日同胞の国籍に関する諸問題には一律に「韓国」国籍法を適用して処理しています。

 子の国籍は、「朝鮮」あるいは「韓国」と日本の重国籍となります。

 しかし、日本の国籍もあわせ持っていることから、日本国民として一方の日本人の親の戸籍に「子」として記載され、日本人の親の姓を名乗ることになります(よく、「日本人の母の戸籍に記載されるので、出生届を提出したくない…」と言う同胞もいますが、出生届は必ず提出しなければなりません。日本人の親の戸籍に記載された子の国籍が確認されないかぎり、後々の国籍離脱手続きなどもできなくなります)。

 子の国籍を「朝鮮」あるいは「韓国」とするには、日本国籍の離脱手続きを行います。

 国籍離脱手続きは住所地を管轄する法務局または地方法務局の国籍窓口で行います。その際必要なものは次のとおりです。

 国籍離脱届(申請窓口に備置されています)、離脱者(子)の日本の戸籍謄本、親の外国人登録原票記載事項証明書(かつての外国人登録済証明書)、離脱者(子)の住民票、子が15歳未満の場合、親権者あるいは法定代理人による届出になるので、その資格を有する書面、印鑑。

 以上の書類が受理されると、1〜2週間後に法務局から(国籍離脱証明の)「通知」が送られてきます。離脱者(子)はこの「通知」をもって、最寄の市区町村役場で、在留資格取得手続き、外国人登録新規申請手続きを行います。親が「特別永住者」であれば、在留資格と外国人登録の手続きは市区町村役場で同時にできます。国籍離脱手続きをしない場合、子は22歳までに国籍選択を行わなければなりません。

 しかし、国籍の選択はすぐにはせず、姓だけは父の朝鮮姓を名乗らせたいという場合、まず日本人妻の姓を変更するという方法があります。婚姻届を提出して6カ月以内であれば最寄りの市区町村役場の戸籍係で「姓変更の届出」だけで変更できます。6カ月をすぎている場合は、家庭裁判所で「氏変更の申立」をします。また、妻は別として子だけに朝鮮姓を名乗らせるならば、やはり家庭裁判所で、子の「氏変更の申立」をします。この場合、子は日本人の親の戸籍を離れ、子を筆頭者とする単独の戸籍が作成されます。(金静寅、NPO法人同胞法律・生活センター)

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[朝鮮新報 2007.3.27]