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〈みんなで子育て オンマ、オリニサークル紹介 @〉 大阪・東成 「トトリの森」

魅力あるトンネを目指す

 コリアン子育てサークル「トトリの森」は、誕生から満2年を迎えました。

 当初5人のオンマで立ち上げたサークルは、毎月第3土曜日に10〜20組が参加。ウリハッキョ(朝鮮学校)出身のオンマから、南から嫁いできたニューカマーのオンマ、夫は帰化して自分は日本人だという方まで、実数約50組のコリアンにゆかりある親子が集うにぎやかなサークルに変わりました。

テーマは「遊びと癒し」

昨年行われたクリスマス会

 「トトリの森」のテーマは、コリアン親子の「遊びと癒し」。

 工作、料理、大型遊具、絵本の読み聞かせ、手遊び歌など親子で楽しむプログラムに加え、リラクゼーション、リンパマッサージ、アートフラワーなど、オンマたちを癒すプログラムを用意しています。また、日頃くっついて離れない子どもたちが安心して自由に遊ぶなか、毎回1時間ゆっくりお茶を飲みながらのおしゃべりは何よりの楽しみとなりました。

 迎え入れる側が、あまりがんばりすぎないこと、自分がやってみたいと思うことを取り入れることがいいようです。

一番の自慢は温かいスタッフ陣

「トトリの森」を支える自慢のスタッフたち

 スタッフはウリハッキョに子どもを通わせるオンマたちです。個人の能力を最大限引出し、全国的にも大活躍を続けるウリハッキョのすばらしさと、深刻な少子化、越境入学問題から、生徒数、園児数が激減したウリハッキョのつらい現状の両面を知っているオンマたちだからこそ、一人ひとりのオンマとオリニを大切に思い支えてくれています。

 設立当初、まだ名前も形もなく先が見えないスタートだったにもかかわらず、「わが子に友だちをもっと作ってやりたい。この地域で子育てする良さを新しい世代に伝えたい。新しいオンマとオリニが集まるサークルを一緒に作ろう」―そんな呼びかけに、快く集まってくれたのでした。

 「子どもが産まれたばかりだったのでサークルがあったらいいなと軽い気持ちだった」と語る副会長の柳静美さん。赤ちゃん世代のことは自分が一番わかると、大変さを楽しさに変え、プログラムの提案やおもちゃのレンタル、ブログ更新など、がんばっています。

 あわただしい幼年期を乗り越え、子どもたちが初級学校にあがった高吉美さん。「自分に声がかかったことがとってもうれしかった。子どもを産んだあと、自分の居場所がなく、何か生きがいをみつけたかった」と、出欠確認、財政管理、お菓子の買い出しなどテキパキとこなしています。

 「誰が来るのかなと、レストランの入り口をワクワクしながら見ていたことを思い出すね」と、オモニたちの輪が拡がることを楽しみにしてくれたのは宋裕子さん。他地方から嫁いできた経験を活かし、サークルにやってきたオンマたちへの声かけや子どもたちの安全確保、各スタッフの補助など臨機応変に動いてくれます。

 「サークルに誘われて、人の輪が楽しかった朝青時代を思い出した。自分の子育ての経験を新しいオンマたちの子育てに活かしたい。よその子どもたちもわが子のようにかわいがってあげたい」と、いつも同級生をたくさん誘ってくるのは2年目から役員になった河直子さん。絵本の読み聞かせや行事保険の手続きを担当しています。

 「子どもの病気やいろんな事情で休みがちになって久しぶりに来ても、トトリの森には温かく迎えてくれる雰囲気がある」と話すのは、2年間メンバーとして参加していた李福順さん。この春からはスタッフデビューとなりました。

 そして、時間が合えば子守りに行くよとたびたび顔を出してくれるたくさんの中大阪朝鮮初級学校のオモニたち。トトリの森が続けられる底力は学父母の温かさ、ここにあるようです。

地域の関心と協力の中で

 サークルを続けるには、イベント内容やスタッフ確保のほか、場所、財政、広報などの問題があり、多くの人の関心と協力が必要です。

 同胞介護施設、地域の社会福祉協議会の協力は、場所の無料使用、行事保険の加入、年間3万円を超えるボランティア活動助成金、ボランティア団体の相互紹介など、活動に幅と余裕を持たせてくれています。

 また、女性同盟支部と本部の協力、子育て世代以外のオモニたちによるサポートはとてもありがたいものです。「実家のオモニと同世代の人から子どもを産んだから女性同盟だよと言われてもなじめなかったのが、サークルを通じて子育て世代にこんなによくしてくれるのかと、女性同盟が身近に感じられた」と話す若いオンマもいるほどです。昨年末のクリスマス会でのアボジたちの応援も心強かった。

温かいトンポトンネをつくりたい

 子育て支援活動は、母親だけ、子育て世代だけの問題ではなく、地域全体で考え取り組む問題です。今年は、地域の日本の人々や、在日コリアンのコミュニティからはぐれてしまった同胞、そして子育ては終わったからと関心を示さない世代や団体にも呼びかけようと思っています。

 子育てサークルという素朴な集まりではありますが、これからも多様化する在日コリアンを受け入れ、違いを認めあい共に支え助け合う、温かく魅力あるトンポトンネを目指してがんばろうと思います。(呉民淑、責任者)

 ブログはhttp://blogs.yahoo.co.jp/totorinomori、メールはtotorinomori@yahoo.co.jp。

 (今号より各地のオンマ、オリニサークルを紹介する連載を始めます)

[朝鮮新報 2007.4.2]