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信頼醸成のむずかしさ

 先日、休会を宣言して閉幕した第6回6者会談。朝鮮半島の核問題をめぐる多国間外交を取材しながら実感したことの一つに、朝米間の信頼関係構築のむずかしさがある。

 初日の全体会議。直前に金融制裁解除に関する声明を発表し、「障害は取り除かれた。次は北の核廃棄だ」と言わんばかりに笑顔で会場入りした米国側のヒル団長とは対照的に、朝鮮側の金桂官団長は終始表情を崩さなかった。会場周辺に流れていた会談進展に対する楽観的なムードを、「問題はまだ終わっていない」と戒めるようでもあった。

 当初、一日あれば終わるとされた凍結資金の返還作業は遅々として進まず、米国や中国側の発言は次第にトーンダウン。関係者の表情には焦りがにじんでいた。

 もちろん、これが「技術的問題」でこじれたとすれば、朝鮮を含めた関係各国にとっては「想定外」のトラブルだったろう。一方で、「送金を確認するまで問題の最終解決はない」とする朝鮮側の対応は、朝米間の合意破綻の歴史的教訓からすれば当然のことだろう。声明の発表や高官の訪問で不信が即座に解消されるわけではない。あいまいさを許さず相互の行動を厳密に検証するプロセスが、朝米の信頼醸成と核問題解決につながるという立場であればこその対応だったように思える。

 世界で最も長く米国と敵対関係にある朝鮮の対米不信は根強い。朝鮮半島の核問題は「米国問題」である、という認識に思い至るなら、朝鮮側に要求する以上に米国が自らなすべきことは多い。(相)

[朝鮮新報 2007.4.3]