top_rogo.gif (16396 bytes)

第4回国連人権理事会総連代表団報告集会 世界に例ない政府主導の差別

日本当局の総連弾圧「重圧な人権侵害」+「平和と安全」に抵触

「当事者」としての体験を語る金承鎬団長

 3月12日から30日にかけて国連欧州本部(スイス・ジュネーブ)で開催された第4回国連人権理事会に参加し、日本での深刻な総連と在日朝鮮人への弾圧、人権侵害の現状を訴えた総連代表団による報告集会(参加者500人)が4月18日、神戸市勤労会館で行われた。理事会では代表団の発言に対し特別報告者(D・ディエン氏)が特別な関心を示したほか、制限時間を延長して質疑がされるなど格段の注目が注がれ、「朝・日の論戦」とともに、一大関心事となった。今後、人権問題での新しい局面を迎えると見られる。代表団の洪祥進事務局長(朝鮮人強制連行真相調査団朝鮮人側中央本部)は強調する。「民間による差別を抑えるのが本来取るべき政府の立場である。政府主導による差別など世界的に類例がない」。

 集会では始めに、金承鎬団長が「当事者」としての自身の体験をもとに活動報告をした。

国連人権理事会で日本政府による総連弾圧について報告する総連代表団(3月28日、スイス・ジュネーブ)

 彼は戦時下の1943年2月6日に生まれた。父親は南方の島に軍属として徴用され、同年10月に死亡している。後日「海軍(当時)」から死亡に関する資料と「遺骨」が送られてきた。ところが送られてきた「遺骨」はただの「石ころ」でいまだに何らの謝罪、賠償もない(別項1参照)。(資料は市の歴史編纂室が調査に来るほど歴史的な価値が高く、ほかならぬ「証拠」として現存している)。

 また「制裁」を謳った「万景峰92」号の入港禁止により、朝鮮(新義州)に住む母親に会えない日々が続いている(別項2参照)。

 ゆえに彼は「象徴的」な被害者でなく「直接的」な被害者として、差別是正を国連人権理事会に訴え、解決に向けて担当局長らと固い握手を交わしたと報告した。

 そのうえで「われわれの時代に解決しなければいけない。幼い子どもたちに背負わせてはいけない」と参加者らに強調した。

 つづいて洪祥進事務局長が解説した。

総連代表団が国連人権理事会会期中に国連欧州本部で開いたNGO集会(3月26日、スイス・ジュネーブ)

 まず今回の特徴について@「慰安婦」問題に対する安倍発言が議論され、日本人「拉致」問題を利用し、日本の過去清算を否定する2面外交の問題点も指摘された、A朝鮮総連に対する弾圧が「国連人権理事会」議題23「人種差別」で初提案にもかかわらず人権差別撤廃条約(同条約は「重大な人権侵害」+「平和と安全」に関する条約であることから人権条約中、最も該当国の責任が問われる)に基づき本格的に議論されたことだと述べた。

 そして、警察庁長官が年頭記者会見で「北朝鮮が困る事件」の「捜査に全力を挙げる」として意図的な朝鮮総連弾圧の趣旨を明らかにした点に言及し、これは同条約に全面的に反するのみならず過去、第二次世界大戦に向けて、ゲルマン民族の優越性のために反ユダヤ主義思想を扇動したネオ・ナチズムと同様な傾向であると詳細に説明すると、世界は驚き注目したと述べた。

 また、事務局長は、今回の人権理事会で最も注目されたのは朝鮮総連弾圧に対する「朝・日の論戦」であると強調した。朝鮮政府の全面的な問題提起に日本政府が異例とも言える反論を繰り返した。しかし、日本の反論は手書き原稿でわずか1分足らずの反論で、朝鮮政府の「不正を正当化する日本の主張」との再反論を引き立てる結果となったと言及した。

 最後に、在日同胞は萎縮せず堂々と自らの歴史的経緯と異常な日本の問題点を国際法にのっとり日本社会に訴えていくことが大事だと話した。(鄭尚丘記者)

 【1】日本政府は日本人被害者だけを対象にDNA鑑定を含む遺骨の調査、収集を行ってきた。北南朝鮮の要請に対しては「われわれの仕事ではない」と責任を回避。依然として朝鮮人犠牲者と、その遺族への連絡すら対象に含まれていない。

 【2】人道的な問題として1959年8月国際赤十字の仲介により、日本から朝鮮への帰還ルートが開設。にもかかわらず、仲介を無視し、「制裁」の名のもと現在、政治的に利用され唯一の直行便は閉ざされたままである。ちなみに船は国連安保理決議1718号に言及されている規制対象品を運搬、搬入したことは一度もなく、日本政府当局者による入国検査でも明白となっている。

[朝鮮新報 2007.5.2]