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〈同胞法律・生活センターPART3 N〉 戸籍

 かつて日本の植民地支配期に導入された「戸籍制度」は、朝鮮では解放後直ちに廃止されましたが、南では残され現在に至っています。日本では「家制度」の廃止に伴い戸籍制度も大きく改正され、夫婦と未婚の子によって編成されますが、南では男子血統優先の「戸主制」となっており、これこそが性差別の元凶となっているとの批判にさらされてきました。

 来年より、この「戸主制」が廃止され、戸籍にかわる新たな身分登録制度が導入されますが、同胞法律・生活センターには戸籍に関連するさまざまな相談が寄せられています。その中でも、戸籍上の名前や生年月日を訂正したいというものも少なくありません。

 Q 私の戸籍に記載された本当の名前は「勇學」となっています。完全に男の名前なので、通称名として使用してきた「愛子」という名前に変更したいと思います。役所の外国人登録係で相談したところ、まずは韓国の戸籍上の名前を変更するように言われました。戸籍上の名前の変更はどうすれば可能でしょうか?

 A 韓国戸籍の名前の変更は、本籍地を管轄する韓国の家庭法院に「改名の申立」を行います。韓国戸籍法の第113条によると、「改名しようとする者は、本籍地または住所地を管轄する家庭法院の許可を得て、その謄本を受け取った日から1カ月以内に申告をしなければならない」と規定されています。

 韓国をたびたび訪問することができる人は、現地の弁護士に依頼するのも方法ですが、郵送により直接に本籍地の家庭法院に申立てるか、あるいは駐日総領事館を窓口にして手続きができます。もっとも領事館での申立手続きは「在外国民特例法」に依拠した国民登録をした同胞が前提ではありますが、自分でできます。手続きは以下のとおりです。

 @「改名許可書」の用紙を受け取る
 Aその用紙に改名の理由を詳細に書く。この事例の場合は、男のような名前なので男性と間違われるので不便であることや、通称名が日常生活では浸透しているなどを明記する。その際に、何か証拠になるもの、例えば、友人からの手紙、卒業証書などを添付する。
 B戸籍謄本
 C外国登録原票記載事項証明書
 D在外国民登録簿謄本

 以上の書類を窓口に提出すると、領事館が申立人に代わって韓国の家庭法院に郵送してくれます。許可にかかる期間は概ね6カ月ほどだそうです。

 これに類似のケースで、センターによく寄せられる相談としては、「日本で生まれたのに、出生地が韓国の本籍地になっている」「性別が女なのに男となっている」「父母の名前が祖父母の名前になっている」というようなものがあります。このような誤記であることが明らかである場合、つまり間違って記載されたことが明らかであるような場合の訂正については、本籍地の家庭法院の許可を得ることなく、領事の確認のみによって、すなわち職権による戸籍の訂正が可能です。

 まずは、その本人が領事館で戸籍訂正申請を行い、上で述べたような誤記であることが確認された調査確認書を戸籍訂正申請書に添付して、直接、本籍地の管轄市、区、邑、面長に送付します。(金静寅・NPO法人同胞法律・生活センター事務局長)

※NPO法人同胞法律・生活センターでは、暮らしをテーマにした各種の講座、学習会を企画し、そこに適切な講師を派遣します。地域の同胞を対象にした講座などの開催を検討されている総連本部、支部の担当者のみなさん、お気軽に事務局までお問い合わせください。TEL 03・5818・5424、FAX 03・5818・5429。

[朝鮮新報 2007.5.7]