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2つの「4.25」

 4月25日、朝鮮出版会館内の総聯傘下団体事務所に対する強制捜査の第一報を平壌で受け取ったのは、当日の夜だった。朝鮮人民軍創建75周年関連行事の取材を終え支局へ戻ると、日本から緊急の知らせが届いていた。

 建軍節を祝う平壌で目にした華やかな光景と、日本当局による凄惨な政治弾圧を伝える記事や生々しい現場写真。両者のあまりの落差に愕然とした。

 翌日、送られてきた資料を片手に、市民の反応を可能なかぎり集めてみた。

 市民らは、弾圧の場面を収めた写真を見た瞬間に顔色を変えた。

 「野蛮な弾圧行為」に市民らは怒りを露わにし、「過去の清算をするどころか在日同胞を弾圧するとは何事か」「安倍政権は絶対に許せない」と話していた。

 とくに、朝鮮の祝日にこのような弾圧行為が行われたことをとても不愉快に思っていた。

 取材の過程でいく度となく耳にした次の言葉は、この国に住む人々の偽らざる心情の表れのように思えた。

 一連の総聯弾圧しかり、「従軍慰安婦」問題をめぐる歴史わい曲発言しかり、「今の日本と、60年前まで朝鮮を植民地支配した帝国主義日本と、一体何が違うのか」

 抗日をルーツに持つ軍創建記念日に、旧宗主国内で起きた在日朝鮮人弾圧。平壌と東京の2つの「4.25」の交差点に日本の対朝鮮政策の変わらぬ本質が浮かび上がる。

 朝鮮からの非難の声に、安倍政権は果たしてどう答えるのか。(相)

[朝鮮新報 2007.5.7]