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「慰安婦」問題検証 社協公開セミナー

日本の過去清算 「現在、未来を左右する問題」

報告者らはさまざまな資料を用いて「慰安婦」の強制性を検証した

 公開セミナー「日本軍『慰安婦』問題を検証する−今こそ日本軍『慰安婦』被害者に謝罪と賠償を−」(主催=在日本朝鮮社会科学者協会)が10日、東京都豊島区の東京芸術劇場で行われた。セミナーでは、朝鮮大学校文学歴史学部の李英洙学部長の司会のもと、関東学院大学の林博史教授、VAWW−NETジャパンの西野瑠美子代表(「女たちの戦争と平和資料館」館長)、朝鮮人強制連行真相調査団朝鮮人側中央本部の洪祥進事務局長が発言した。発言者らは、日本軍による「慰安婦」の強制が行われたことをこれまで確認されたさまざまな資料を用いて検証。「慰安婦」問題をはじめとする日本の戦争責任を問うことは過去の問題ではなく、現在、未来に関わる問題であるとの認識を共有した。

 林教授は、「戦犯裁判から靖国まで」というタイトルで発言。バタビア(インドネシア・ジャカルタ)裁判(1946年10月に判決)で有罪判決を受けた「桜クラブ」の経営者が靖国神社に合祀されている事実が最近、明らかになったことについて言及した。

 「桜クラブ」は日本軍の指示により開設された日本の民間人用慰安所で、67年5月の厚生省援護局と靖国神社の会議記録に同経営者を同神社に合祀することが記載されている。

セミナーには約150人が参加した

 林教授は、戦後20年以上も経った67年の段階でもこのような決定がなされることについて「日本の恥」だと述べた。

 そして、「戦後の日本において『慰安婦』問題が犯罪としてきちんと認識されてこなかった。そのように認識しなかった政府をわれわれはもってしまった。それは現在も続いている」と遺憾の意を表した。

 また、西野代表は、「慰安婦」の徴集、移送、「慰安所」の管理、監督などが軍の統制下で行われたことについて、「副官ヨリ北支那方面軍及中支那派遣軍参謀長宛通牒」(1938年3月4日、陸軍省副官通牒として出された「慰安婦」指示)など、これまで確認されたさまざまな資料を引用しながら解説した。

 そして、「慰安婦」問題で、国際社会が日本に非難の目を向けているのは、ダブルトークを繰り返す「あいまいな日本」に対する非難であると指摘した。

 洪事務局長は、「慰安婦」に強制性がなかったとの視点は、自由と名誉に対する基本的人権が何であるかを理解していないことの証左だと指摘。そして過去、侵略戦争を起こした日本の本質は今日も変わらず、総聯に対する弾圧が繰り返されていると強調し、ともにたたかっていこうと訴えた。

 まとめを行った李学部長は、日本の戦争責任問題は過去の話ではなく、日本とアジアの現在、未来を左右する大きな問題であると指摘し、参加者らが危機感をもって対処し、アジアの真の平和を築くために声をあげていこうと強調した。

 報告者の発言後、質疑応答が行われた。

 この日のセミナーには在日同胞、学生、日本の市民ら約150人が参加し会場をぎっしりと埋め、「慰安婦」問題に対する関心の高さがうかがえた。(呉陽希記者)

[朝鮮新報 2007.5.14]