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京都で朝鮮学校に関するシンポジウム

「すばらしさもっと知ろう」

シンポで実行委員会のあいさつをする仲尾宏客員教授

 シンポジウム「朝鮮学校の今〜知ろう、考えよう、支えよう〜」が13日、同志社大学で行われ、京都をはじめとする近畿の同胞と日本市民ら約220人が参加した。シンポジウムは、「朝鮮学校を支える会・京滋」と「京都民族教育対策委員会」が中心となって実行委員会を構成し開かれた。

 シンポジウムではまず、実行委員長である「朝鮮学校を支える会・京滋」共同代表の仲尾宏・京都造形芸術大学客員教授があいさつ。日本の教育行政当局と多くの日本人はこの間、在日コリアンの民族教育機関がどうして必要なのかをよく理解しないまま過ごしてきたと述べながら、そのことがかつての朝鮮半島の植民地化に対する加害者としての意識の希薄さへとつながり、在日コリアンへの差別と偏見を再生産してきたと指摘した。

 そのうえで、世界のどこにおいても偏りのないまっとうな民族性を身につけた人こそがその社会を活性化させ、社会の民主化に役立つ人間として自分の人権とほかの人々の人権をつなげて考えられる人になれると述べながら、厳しさを増す日本社会で、民族教育を受けた人々が自由と人権のためにいっそう活躍することを期待すると語った。

220人が参加したシンポ

 二部構成で行われたシンポジウムの第一部では、在日本朝鮮人人権協会の宋恵淑副部長による基調講演「国際的観点から見る朝鮮学校」が行われた。

 宋副部長は、1992年から始まった民族教育をはじめとする在日朝鮮人の権利問題に関する国連での活動について具体的に述べながら、日本国内での民族教育権を獲得するための活動の歴史を紐解き解説した。

 また、世界人権宣言、国際人権規約や人種差別撤廃条約、子どもの権利条約など国際人権条約における民族教育に関係する条文を紹介しながら、在日朝鮮人の民族教育が国際的にも保障されてしかるべきだと強調した。

 とくに、2005年7月に日本を訪問した現代的形態の人種主義、人種差別、外国人嫌悪、排斥および関連する不寛容に関する特別報告者のドゥドゥ・ディエン氏の報告書に触れながら、この報告書を活用して民族教育に対する差別を撤廃するために活動の輪を広げようと訴えた。

 第二部ではパネルディスカッションが行われ、京都朝鮮中高級学校教務部副部長の文峯秀氏、京都朝鮮第1初級学校の学父母である李陽子氏、西南地域青商会幹事長で同校アボジ会の副会長である張一鋪氏らが「朝鮮学校の現場から」と題して発言した。

 続いて、京都朝鮮第2初級学校で保健などを担当している栗山千代美氏、朝鮮学校で英語指導をしている立命館大学教授の湯川笑子氏、京都朝鮮第3初級学校と学校ぐるみの長い交流を続けてきた京都市立鷹峯小学校校長の林田清文氏、2003年6月に訪朝し日朝の子どもたちの交流のかけ橋になっている京都市立楽只小学校教諭の中西悠子氏、滋賀朝鮮初級学校との交流を続けてきた滋賀県内の中学校教員である高野真知子氏、京都大学大学院生で同志社大学での「フレンドシップコンサート」のビデオ制作に参加し朝鮮学校を訪ねた片田孫晶氏、弁護士の江頭節子氏らがそれぞれ「朝鮮学校を『支える』活動」と題して発言した。

 パネリストらは、朝鮮学校を取り巻く状況は厳しいものの、民族教育の大切さ、すばらしさについて誇らしく語ったほか、朝鮮学校を「支える」というよりも逆に学ぶことが多く、これからも共に手を携えて民族教育を守っていこうと訴えた。(李松鶴記者)

[朝鮮新報 2007.521]