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あるドキュメンタリー番組

 昨年末から年始にかけ九州8県で、民族の心を歌を通して培い守っていこうとする朝鮮歌舞団の現役歌手と、将来、歌舞団の歌手になることを夢みる朝高生の姿を描いた約1時間のドキュメンタリー番組が放送された。制作したのは大手テレビ局の系列。

 「なぜこの時期に総聯関係の番組をつくるのか」「(貴社は)どういうポリシーなのか」。周囲は同番組を制作したディレクターに疑問の声をぶつけた。

 番組の制作のことを知ったのは昨年夏、取材で福岡を訪れた際に行く先々でビデオカメラを抱えたディレクターと幾度となく、顔を合わせたのがきっかけ。その後も東京で行われた在日朝鮮学生の催しの現場で出会うなど、どんな番組ができ上がるのか関心を持った。

 九州地方限定の放送だというので、オンタイムで見るのは無理かなと思っていたが、タイミングよく放送当日、福岡にいた。

 「日本という異国に生きる朝鮮の人たちの同胞愛、母国への帰属意識がよく描かれた良質の番組」「在日の人たちの微妙な立場を感じることができた」「日朝間に政治的な軋轢があるこの時期に放送されたことは、大変意義がある」というのが、今年2月に行われた番組審議会での評価。同番組は先月末、以前のものより10分長く再制作され、福岡で放送された。

 「朝鮮の文化を見て日本人が感動し、日本の文化を知って朝鮮人が感動する。そんな自然な社会をつくりたい」。ディレクターからのメール。パソコンの前で深くうなずいた。(陽)

[朝鮮新報 2007.6.25]