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夜明け前の暗さ

 6月21日、クリストファー・ヒル米国務省次官補を乗せた軍用機が雨の降りしきる平壌・順安空港に降り立った。「電撃的」と称された「ヒル訪朝」を現地で取材しながら、3月の6者会談以降の3カ月間が脳裏に浮かんだ。

 平壌支局赴任を前に北京に立ち寄り取材した6者会談だったが、「BDA問題」で休会に追い込まれた。ことの顛末を見ながら覚えた今後に対する一抹の不安は、不幸にも現実のものとなった。

 6者会談「2.13合意」を機に、朝鮮の北南間でも対話と交流が本格化すると思われた。しかし、北南経済協力推進会議(4月)、閣僚級会談(5月)、6.15祝典など、この間に取材した主だった会談や行事ですんなり進んだものなど何一つなかった。

 「BDAの呪い」とでも言いたくなるような光景が現場で再現される。精神的に決して強くない記者にとっては胃が痛くなるような取材の連続だった。

 「(BDAの)凍結資金問題がついに解決した」と朝鮮外務省スポークスマンは発言した(6月25日)。ヒル次官補は6者会談後の3カ月を「失われた時間」と表現した。しかし、今後のステップを考える時、決して無駄に流れた時間ではなかったように思う。

 「雨降って地固まる」ではないが、再び動き出した朝鮮半島非核化、朝米関係正常化のプロセスは今後、う余曲折があっても決して逆行することはないだろう。

 順風満帆より「夜明け前の暗さ」に感じ、学ぶことが多かったと今では思っている。(相)

[朝鮮新報 2007.7.2]