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いなかった

 「『慰安婦』被害女性の尊厳を取り戻そう」と日本人有志らによる「6.14国会前行動」が行われた。参加者たちは被害女性の写真やプラカードを手にスタンディング、ロビーイングなど8時間に渡り、精力的に活動した。多くのメディアがこれを取材した。

 しかし、である。いわゆる「頭撮り」で、ほとんどの取材陣は解散してしまった。速報として「絵」を間に合わせるためだろうとは理解できる。それでも一抹の不安を覚えた。被害女性の、支援者の心の叫びを、良心を、その「絵」だけでどれだけ汲み取ることができるのだろうか。休憩中にこぼした一言、悲しい「再会の約束」こそが「真実」ではなかったろうか。どうして被害女性のパスポートが、出入国を表す各国のスタンプでいっぱいになったのか。気が付くともうほかの記者はいなかった。

 「薬事法違反の教唆」容疑で「北のスパイ」と責められた、ある同胞女性が不起訴処分となり、晴れてその汚名を返上するにいたった。「ここから出て行け」「殺してやる」と、いやがらせを受け、その名誉は著しく傷つけられた。「スパイ」でも「『北』の高官」でもないことは明白だった。ましてや「栄養剤」が「核開発」に「関連」しないことも。そう主張するものもいたし、その「根拠」を持つものもいた。しかし、かき消された。気が付くともう「真実」を伝える主要メディアはいなかった。

 なるほど、真実を伝えるのは難しい。誰のための目であり口であり耳であるのか。多数? 権力? 問われている。(丘)

[朝鮮新報 2007.7.17]