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長崎で原爆朝鮮人被害者悼む 戦後補償法の改正を要求

南の平和団体も参加

 2007年長崎原爆朝鮮人犠牲者追悼早朝集会が9日、長崎市松山町の爆心地公園内にある朝鮮人慰霊碑前で行われた。長崎在日朝鮮人の人権を守る会の主催で行われた集会には、遺族や同胞、日本市民らのほか、総連長崎県本部の金清吉委員長、女性同盟長崎県本部の尹淳子国際部長、在韓被爆者協会の郭貴勲会長、「韓国平和紀行団」のメンバーら約350人が参加した。

政府は誠実な対応を

追悼会には約350人が参加した

 集会では、開会宣言に続き犠牲者を悼み、参加者全員が1分間の黙とうを捧げた。続いて総連と朝鮮人被爆者協会、反核団体代表らがそれぞれ花輪や花飾りをたむけた。

 続いて各団体の代表らがあいさつした。

 総連長崎県本部の金清吉委員長は、長い間反核平和運動と被爆体験の最後の朝鮮人語り部で、昨年秋に亡くなった朝鮮人被爆者協会の故朴Q奎会長に哀悼の意を捧げ、6者会談の進展や北南首脳会談の開催決定など、朝鮮半島を取り巻く情勢が好転していることに触れながら、朝鮮への制裁と総連への弾圧に固執する日本政府を非難。過去の清算と朝・日国交正常化に向けて誠実な対応を取るよう求めた。

 遺族を代表してあいさつした李太宰氏は、在外被爆者長崎訴訟の元原告で昨年7月に亡くなった父・李康寧氏の遺志を受け継ぎ、在外被爆者の支援活動を続けていくと述べながら、息子の健雨さんがスイスへの「平和大使」に選ばれたことを紹介した。

南の市民団体メンバーも犠牲者を追悼した

 参加者らは、原爆を落とした米国に対する憤りと強制連行の果てに原爆の被害を受けるという二重の苦しみの中、異国の地で犠牲となった朝鮮人の無念さを思いやり、いまだ誠実な対応を見せない日本政府に対し、北南の同胞被害者に対する被爆援護の現状を改善するよう強く求めた。

 参加者らは再度黙とうし、慰霊碑に一人ひとり献花した。

 今年の集会には、「韓国平和紀行団」のメンバーら150人も参加し、異国の地で犠牲となった同胞たちを追悼した。

 一方、総連長崎県本部の金清吉委員長は同日、長崎市が主催する平和祈念式典に来ひんとして出席したほか、学生2人と同胞2人が代表として原爆犠牲者碑前に献花した。

一連の総連弾圧非難

慰霊碑には多くの花がたむけられた

 集会では、長崎在日朝鮮人の人権を守る会の代表である高實康稔・長崎大学名誉教授が集会メッセージを読んだ。

 メッセージは、6者会談が進展する中、日本政府がこの事態を歓迎しないどころか水を差しているのは周知の事実だと指摘。こうした態度は北東アジアの平和と安定を阻害するばかりか、在日朝鮮人を悲しませるものにほかならないと強調した。

 また、朝鮮の被爆者は完全に見捨てられ、在韓被爆者を最大多数とする在外被爆者にしても、被爆者健康手帳取得のために来日を強要される理不尽がまかり通っているとしながら、日本政府が終始一貫して在外被爆者を排除または冷遇してきた背景には、朝鮮民族差別があると指摘。この差別体質が戦後一貫した在日朝鮮人差別と弾圧の根源であり、「万景峰92」号の入港禁止や総連各施設に対する不当な強制捜索、固定資産税減免措置の取り消しなどを通して如実に現れていると主張した。

 そのうえで、日本政府に対し、@在外被爆者手帳の交付申請者に来日を強要しないこと、A朝・日平壌宣言に基づきすみやかに国交正常化を図ること、B侵略と戦争の加害責任を深く反省し抜本的な戦後補償法を制定すること−などを強く求めた。【長崎支局】

[朝鮮新報 2007.8.27]