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送りたいのに送れない

 「民族教育は確かにすばらしい。でも、だったらどうして生徒数が減るのか?」−朝鮮学校に子どもを送るあるアボジにこう問いかけられ、返答に詰まった。そのアボジの子どもが進学するはずだった学校が、生徒数の減少などにより休校することが決まっていたからだ。

 「朝鮮学校に送りたい気持ちはやまやまだけど…」「朝鮮学校はお金がかかる。今の収入でどうすれば子どもを送れる?」「寄宿舎に入れてまで他県の学校に送りたくない」と、親たちの悩みは複雑だ。そんな親に、面と向かって「それでも朝鮮学校に入れましょう」と責任持って言える人はそう多くはないだろう。

 こんな悲劇も。「クラスに男子は一人だけ。息子の将来を考えたら行けとは言えない…」。というのも、元々クラスに男子2人。その一人が中学から日本学校に行くことに。残された一人は「女子に囲まれてどうすればいいの?」と親に泣きつく。相手の親に掛け合うも、無理強いできるはずもなく途方に暮れるしかない。「それでも朝鮮学校に」と願い、息子を泣く泣く他県の朝鮮学校に。通学は祖父母の家から。オモニは月に一度、夜行バスに乗って息子に会いに行っている。

 最近、各地では若いオモニたちの子育てサークルが活発だ。子育てという普遍的な悩みを分かち合うことで連帯感が広がり、先輩オモニのアドバイスも受け入れやすく、不安や悩み解消の一助になっている。「あのオモニが(朝鮮学校に)入れるなら私も…」。こうした例がどのサークルでも必ず聞かれる。悲劇に歯止めがかかれば。(泰)

[朝鮮新報 2007.9.3]