「京都子ども議会」に参加 京都第3初級・金理里さん |
京都府議会議場で8月23日に行われた「京都府子ども議会」に京都朝鮮第3初級学校の金理里さん(初6)が参加した。子ども議会には、京都市内と乙訓、山城、南丹、中丹、丹後の各地域にある公私立小学校に通う生徒ら60人が参加。「子ども議員」となって活発に質問を投げかけた。 「感慨無量」
子ども議会は、生徒らが京都府の環境やまちづくり、安全、教育、観光、自然などさまざまな分野に関する問題を演壇に立って質問し、これに対して知事や府議会議長、教育長をはじめとする府の各行政機関の責任者らが応える形で行われた。 各地方自治体でも同様の取り組みは行われており、京都府では1987年11月以来20年ぶりに行われた。議場で行われたのは今回が初めて。 生徒たちは、この日のために事前に1泊2日の日程でワークショップを行い、それぞれ提案や質問を作成。当日は、純真かつ鋭い視点からさまざまな質問を投げかけた。 金理里さんは、ワークショップに参加するまでは多少の不安感を抱いていたものの、実際に参加して時間が経つにつれて日本の生徒とも親しくなり、連絡場所を交換する友人もできた。なかには「朝鮮語ってかっこいい!」と言いながら、金理里さんのところに来て朝鮮語を教えてくれるよう頼む生徒もいたという。
議会当日、金理里さんは朝鮮語と日本語で会話ができるという自らの利点を生かし、観光客を案内したいという理由から、観光に関する研究を担当した5班の一員となって質問した。 生徒たちの質問に耳を傾けていた各機関の責任者らは、「貴重な勉強になった。とてもありがたい。いい提案については慎重に検討し受け入れるよう努力する」「建設的な提案が多く、とても驚いた」などの感想を述べた。 子ども議会の開催を数度にわたって提案するとともに、朝鮮学校の生徒も参加させるべきだと強調してきた角替豊・京都府議(公明党)は、「京都府の広聴活動とともに生徒たちに貴重な体験をさせてあげたかった。子ども議会は政治に対する教育にもなり、生徒たちがれっきとした社会のメンバーであるという認識を持てるきっかけになる。これからも数年に一度は必ず開催しなければならない」と指摘した。そのうえで、「国籍や民族が違う多くの人々が暮らしている京都では、多文化共生が重要な課題として浮上している以上、子ども議会の場に朝鮮学校の生徒が参加してしかるべきだった。何はともあれ今回、金理里さんが参加してくれて本当にうれしいし感慨無量だ」と語った。 式典に招待 「緊張した」 議場から出てきた金理里さんは、安堵のため息を吐いていた。 金さんは、班別で府知事と記念撮影を行ったあと、知事に一通の手紙を手渡した。その手紙には、9月9日に行われる京都第3初級創立40周年記念式典にぜひ参加してほしい、自分が案内するという内容が書かれていた。 山田府知事は、「今日の子ども議会に在日朝鮮人の生徒が参加してくれてうれしく思う。京都府の未来を考えた時、国籍は何の関係もない。幼い時から互いへの理解を深め、文化交流や国際交流をしていきながら、明日の京都府を作っていきたい」と述べた。 担任の金英煥教員によると、金理里さんは「しっかりしていて心が純粋な生徒」だという。歴史が好きで、将来は「医師になりたい」という希望を抱いている。 金理里さんのオモニである高純美さん(40)は、子ども議会に参加して知事の答弁をメモしている娘の頼もしい姿を見ながら、在日同胞たちに開かれた住みやすい地域の未来像を想像できたという。そして、「理里が京都第3初級に通っていたから、今日のような貴重な体験をすることができた。学校創立40周年を迎える今年、理里が朝鮮学校の生徒代表として子ども議会に参加できて本当にうれしい」とほほえんだ。(李東浩記者) [朝鮮新報 2007.9.5] |