top_rogo.gif (16396 bytes)

くもってはならない「眼」

 現在、ホームヘルパー2級の資格取得に向けて、NPO法人「ナビ」が運営する通信講座に通っている。「柄にもないことを…」と言われながら。同調するところもある。しかし、もはやこの高齢者や福祉に関する問題は、「柄」の問題で済まされるようなものではない。

 去年、同通信講座に通う1期生を追って取材した。同胞であること以外、年齢、職業、目的など共通点は皆無に等しい受講生たちが、「卒業」に際して涙ながらに「受講生同志」と呼び合う姿を見た。それほどまでに苦しくも価値ある「ヘルパーへの道」とは、叫ばれる高齢化社会の「本当の姿」とは−そのことを知り、そして伝えたくなった。「この子らを世の光に」という理念に沿って。

 社会的に不利な立場に置かれたり、介護を受ける状態にあったとしても、健常者とともに社会的に一緒に生活するのが自然だというのがノーマライゼーションである。何人をも排除しようとする考えはそこにない。「この子らに世の光を」ではなく、「この子らを世の光に」の考え方は、知的障がいを持つ子どもたちの真実な生き方が世の光となるのであって、彼らに接することで、かえって人間の生命の大切さに目覚めさせられ、救われていくと説く。

 この考え、転換することによって、文字通りすべての人間が共有すべき考えとなりうる。「この子ら」を「高齢者」に置き換えることも、排除したい、向き合いたくない−いくつもの「モノ」に置き換えることも。(丘)

[朝鮮新報 2007.9.15]