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「放送車」の威力

 朝鮮各地の大雨被災地を訪ねると、例外なく「放送車」の話を聞く。「早急に安全な場所に避難しろという放送車の指示で助かった。もしそのままあの場所にいたら。想像しただけでもぞっとする」。九死に一生を得た人びとは大雨当時を回顧しながら、こう口をそろえる。

 「放送車」とは拡声器を搭載した宣伝カーのこと。普段は住民に対する政治宣伝や、建設現場で歌を流しながら人びとを鼓舞するために用いられる。

 今回、大雨による堤防の決壊、土砂崩れのような緊急時に、「放送車」は多くの人びとの命を救出するのに大きな役割を果たした。

 江原道伊川郡のシンダン里4班という村には60棟の家があった。すぐ横の貯水池の堤防が崩れ、一瞬にして村全体が流された。堤防が決壊したのは明け方の4時だったにもかかわらず、人命被害は2人にとどまった。前日の夜から住民に避難勧告した結果だ。

 黄海北道平山郡の郡所在地の場合、ここを流れる河の堤防の一部が崩れたが、すぐに「放送車」で住民らを動員。数百人が大雨の中で土砂と石を運びながら復旧させ、この地域の物的被害の拡大を防いだ。郡人民委員会のキム・ドングク委員長は、「人びとの体には集団主義が染み付いている」と説明した。

 被災地では、何もかもが不足する中でもみなが一丸となって復旧事業に励んでいた。

 任意の瞬間にもいっせいに動ける独特の社会環境、朝鮮が誇る「一心団結」の力をあらためて見たような気がした。(姜)

[朝鮮新報 2007.10.1]