top_rogo.gif (16396 bytes)

〈同胞法律・生活センターPART4 C〉 高齢者福祉 @−進む高齢化

Q 一人暮らし82歳の母、施設入所は可?

A 希望者多く、介護度、必要性に応じて

 人口の高齢化は世界的にも深刻な問題となりつつあるようです。国連の定義によると、65歳以上の占める人口割合が7%に達すると「高齢化社会」、14%に達すると「高齢社会」としています。日本では1970年に7%、1994年に14%、そして2年前の2005年には20%となり、非常に短い期間に、5人に1人が高齢者という世界第1位の超高齢社会となりました。今年度の統計では早くも21%を超え、かなりのスピードで高齢化が進行しています。

 在日同胞社会もすでに高齢社会に突入しています。法務省の統計によると2006年度末時点での朝鮮籍、韓国籍の外国人登録者数(59万8219人、うち特別永住者の数は43万8974人)から65歳以上の同胞高齢者(9万4445人)の占める割合を計算すると15.8%となっています。このような現実を前に同胞高齢者のための施策は最重要課題として、各地域では介護保険を用いた訪問介護や通所介護事業、また文化活動を中心とする憩いの場づくりなど、高齢者のための多様な福祉活動が行われているようです。

 現在のところ、高齢者のための各種のサービスには在宅サービスと施設サービスの二つがあり、ホームヘルプや通所のデイ・サービスなど具体的なサービスの多くは介護保険制度のもとで実施されています。

 Q 82歳になる母が一人で暮らしています。足腰は弱っているものの、家事もこなし何とか生活ができています。しかし、高齢なのでとても心配です。老人ホームなど施設に入所はできないでしょうか?

 A 高齢とは言うものの、ご自身の身の回りのことから家事もこなせるのであれば、日常生活においては十分に自立されているようです。

 高齢者のための入所施設には、老人福祉法と介護保険法で規定する特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、養護老人ホームがあります。これらは地方自治体や社会福祉法人などにより運営されています。これとは別に、民間が運営する有料老人ホームがありますが、これは老人福祉施設ではなく、入居の条件、入居金の額や毎月に係る費用もさまざまです。

 特別養護老人ホームは、介護保険にもとづくサービスとして利用ができるもので、入所に際しては要介護認定が前提となります。しかしながら、この施設については入所希望者が非常に多いため、介護度が重く入所の必要性が高い人が優先され、元気な高齢者はまず入所できません。入所に係る費用は要介護度に応じて自己負担分が異なります。

 養護老人ホームは、身体上または精神上の理由あるいは住宅に困窮しているなどの理由により、自宅での生活が困難な高齢者を対象としています。高齢者のいる世帯が生活保護を受けているなど、生活に困窮していることが条件で、老人福祉法に基づき市町村が措置として入所を決定します。費用は入所者本人あるいは扶養義務者の所得状況に応じて決まります。高所得者や寝たきりあるいは介護の必要な人は入所ができません。

 軽費老人ホームは、家庭環境や住宅に困窮しているなどの理由により、自宅での生活が困難な60歳以上(夫婦の場合はどちらかが60歳以上)の人が対象となり、所得が一定基準以下であり、自炊が可能で介護の必要が無いことが条件です。

 このような入所施設がありますが、民間の有料老人ホームは別として、いずれの施設も入所希望者が非常に多く「数年待ち」ということも多いのが現実です。

 日常的な見守りであれば、地域によっては市町村の高齢福祉課あるいは社会福祉協議会などで有料のサービスを提供しているところもあります。センターにぜひご相談ください。(金静寅、同胞法律・生活センター事務局長)

「連続講座」使いこなせ! HOW TO 社会福祉・サービス」

 第2回 「高齢者福祉 HOW TO−介護保険、施設入所、老人医療、年金、福祉給付金など」。20日(土)、14時〜、センター3階。講師=文鐘聲さん(大成学院大学人間学部講師)。高齢者福祉とは何か、一昨年前に実施された最も同胞人口の多い大阪市生野区での同胞高齢者実態調査を踏まえ、同胞高齢者が求める福祉サービスのありかた、また実際にサービス利用できるようにするための支援者の役割について解説します。問い合わせ=TEL 03・5818・5424、FAX 03・5818・5429

[朝鮮新報 2007.10.15]