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「おいしい」体験(?)

 10月中旬から平壌特派員として祖国へ赴任することに。平壌行きのしょっぱなから「記者冥利」に尽きる「おいしい」体験(?)に遭遇した。

 新潟空港からウラジオストク、そこから高麗航空に乗り継ぎ、当日夜8時頃平壌空港に到着する予定だった。が、記者が平壌に着いたのは翌朝8時35分。一夜を過ごした地は、なんと咸鏡北道の漁郎郡。記者を含む在日同胞4人をはじめ計53人(国内22人、ロシア人2人、セルビア人1人、乗務員14人)を乗せた飛行機は平壌市内の天候不良のため空港に着陸できず、清津市近くの漁郎飛行場に降り立った。

 「天候が回復次第平壌へ向かう」との機内アナウンスが流れる。翌日開城での取材が控えていた記者、出迎えの家族、親せきを案ずる同胞らは気を揉んだ。ところが外国人はカードゲーム、国内の人はタラップでタバコを吸いながら陽気に会話を繰り広げている。気が付くと記者も前の座席の乗客から「ポジティブ思考」の講義を受けているというなんとも滑稽な状況だった。

 翌日、平壌空港に到着した乗客らは疲れのせいか無言ではあったが、互いの労をねぎらうかのような表情を浮かべ機を降りていった。平壌は前日の雨で気温がぐっと下がり寒かったが、澄みきった青空を見上げすがすがしい空気を吸うと、不思議と力が湧いてきた。

 開城取材は、出発時刻にわずかに及ばず、申し訳ないことをしたと思いつつ先輩記者に一任することにした。こんな経験は一度で十分。(陽)

[朝鮮新報 2007.10.29]